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新型コロナウイルスの感染拡大の影響は様々な領域に広がり、米国の生鮮食料品店の棚からはパスタが消え、Zoomなどのビデオ会議関連企業の株価は急騰した。影響はフィンテック関連にも広がりそうだ。

人々が旅行を控えるようになると、クレジットカード会社の売上も減少する。Visaやマスターカードらは既に投資家に警告を発し、今期の売上が2〜4%の減少となる見通しを示した。2社の株価は2月9日の最高値から既に約12%の下落となっている。これは、S&P 500の同期間の減少幅の10%を、大きく上回っている。

感染が拡大すれば人々は外食を控えるようになり、小規模な店舗に決済ツールを提供するスクエアの業績もダメージを被るだろう。スクエアは直近の業績レポートで新型コロナウイルスが潜在的脅威となると述べていた。同社の株価も2月19日から9%の下落となっている。

フィンテック分野の企業の評価額は、急上昇を遂げていたが、株式相場の下落により投資家はバリュエーションを引き下げ、資金の回収に乗り出す可能性もある。

中でもコンシューマ向けのフィンテック企業のダメージは大きい。デジタル銀行のChimeは、売上の大半をトランザクション手数料から得ており、消費が減れば売上は大きく落ち込む。投資のロボアドバイザーアプリも、株価の下落が売上の減少につながる。なぜならこれらのアプリは、株価ベースでの預かり額を基準に手数料を得ているからだ。

さらに景気後退が起これば、企業のマーケティング予算も大幅に減少する。調査企業Kantarによると、Chimeが昨年支払った広告費用は数千万ドルに及ぶというが、そこで用いられた資金の大半は、外部からの調達によるものだ。同社は昨年末に5億ドルを調達していた。

コンサルティング企業Oliver WymanのDan Rosenbaumは、現在の状況が2001年のITバブルの崩壊時に近いと述べている。

「ITバブル時代のテック企業は異様に高い評価額で外部から資金を調達していたが、市場の崩壊と同時にエグジットの道が閉ざされた。アーリーステージの企業は資金調達に行き詰まり、閉鎖に追い込まれるスタートアップも急増した」

株式トレーダーとして15年間勤務した後、デジタル銀行Currentを立ち上げたStuart Soppは、昨年10月のシリーズBで2000万ドルを調達したが、今後の市場の動向に懸念を高めている。

「S&P 500は現状で3000台の水準だが、今後は2300まで下げると見込んでいる。今はまだ株価の調整の折返し地点であり、ここ2カ月は下げ相場が続くだろう」

安心できる材料としては、プライベート・エクイティやVCが抱える手元資金がPitchBookによると、1.2兆ドルにのぼっていることがあげられる。しかし、スタートアップの評価額の下落は、ここしばらく続きそうだ。

編集=上田裕資

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