ビジネス

2020.03.08

中国ラッキンコーヒー会長を悩ませる「レンタカー企業」の苦境

Photo by Simon Song/South China Morning Post via Getty Images

中国版スターバックスと呼ばれる「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」は、2017年10月の設立から瞬く間に事業を拡大した。同社は2019年5月に米ナスダック市場でIPOを果たして以降、株価を2倍以上に伸ばし、米国で上場した中国企業としては、最高レベルのパフォーマンスを見せている。

ラッキンコーヒーは、現金を一切受け取らないデリバリーに特化したビジネスモデルで勢力を拡大し、損失を出し続けながらも投資家の信頼を獲得した。

株価の上昇により同社会長のCharles Lu(別名:Charles Zhengyao Lu、もしくはLu Zhengya)の保有資産は、昨年11月時点で22億6000万ドル(約2400億円)以上に膨らみ、ビリオネアの仲間入りを果たした。

しかし、Luが会長を務める「Car Inc.」の業績は冴えない状況だ。レンタカーと中古車販売を行うCar Inc.は香港市場に上場するが、株価は決算発表を受けて3月3日に史上最安値の4.87香港ドルまで下落した。

2月21日、Car Inc.は2019年通期の純利益が前年よりも80%以上低い、4100万ドル程度にとどまる見通しであると発表した。ムーディーズは同社の株価見通しをネガティブ評価に引き下げた。

Car Inc.は国内旅行需要の低下や競争の高まりにより、利益が減少する見通しであると述べている。中古車相場の低下により減価償却コストが高まっており、株価ベースで支払われるストックオプション報酬の支払いも、経営を圧迫しているという。

Luは2007年にCar Inc.を設立し、同社の子会社のUCARの会長も務めている。彼は2018年6月にラッキンコーヒーの会長職に就任した。

ムーディーズは当面の間、Car Inc.の業績回復は見込めないと述べている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、Car Inc.の2020年第1四半期の売上は大きく落ち込んだ。同社の株価は2015年には18香港ドル以上だった。

編集=上田裕資

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