ライフスタイル

2020.03.07 12:00

年間300万人を集めるNYのMoMA、490億円リニューアルの全貌



アートパフォーマンスの場にもなる、新設された「Studio」。

「2018年に話を受けて、その翌年にリニューアルを成功させるというのは、とても難易度の高いミッションでした(笑)。リニューアルオープンと連動した企画展の実現に向けて、各部門のディレクターやチーフキュレーターと足並みを合わせ、マーケティング、広報戦略のディレクションも私が担いました」

今回のリニューアルにおけるプロセスを全方向でディレクションしたサラには、展示作品に多様性を保たせることの他にも、目指すべき新しいMoMAの完成形があった。来場者たちのMoMAでの体験を、より満足度の高いものにするということだ。

作品鑑賞以外の楽しみ方


実際に館内を歩いてみると、以前と比べて館内に設置された椅子の数が増えていることに気づく。これは、より作品と向き合う時間を長くするため、そして立ちっぱなしの時間が多くなる館内での過ごし方を、よりリラックスしたものにさせるという狙いがあった。

また、2階にオープンした「Creativity Lab」では、窓際で来場者がNYの街並みをスケッチすることのできるスペースや、その時々の企画展に連動したアート体験ができるようなエリアが用意されている。


2階の「Creativity Lab」の様子。常時スタッフが、来場者のアート体験の手助けをしてくれる。

現在は、5月17日まで3階のギャラリーで展示されている「Taking a Thread for a Walk」という、テキスタイルをテーマにした企画と連動させて、来場者が機織り機を使って編み物を作ることができるようにもなっている。

NYには、幼稚園や小学校の課外授業の場として、子どもたちにアート体験を提供する美術館は多くあるが、「Creativity Lab」のような形で、大人もアートを楽しめるようなスペースは他にはあまりなかった。


「Creativity Lab」で何年かぶりに絵を描いた、という感想を残していく大人も多いという。

最後にサラへ、展示作品も、来場者の楽しみ方の幅も広がったMoMAを最大限楽しむ方法を聞いた。

「今回のリニューアルのデザインは、廃線跡を公園にした『ハイライン』や、2019年、動くイベントホールとしてオープンした『ザ・シェッド』のデザインを手がけた、NYを拠点にする建築スタジオ『ディラー&スコフィディオ』が担当しました。彼らが現代のNYを反映したMoMAの建築にも注目してください。

アート作品を鑑賞して、お腹が空いたらランチには2階の『Café 2』のパスタがおすすめです。その後は、ユニークな彫刻が並ぶ庭園でのんびりして、最後は『Creativity Lab』で、MoMAを五感で楽しんだ後の自分が、どのような形でクリエイティビティを発揮するか、力試しをしてみて欲しいですね」



住所:11 West 53rd St Manhattan, NY 10019

営業時間:10:30-17:30(毎週金曜、毎月第1木曜日は21時まで)

定休日:サンクスギビング(11月の第4木曜日)と12月25日

文=守屋美佳 写真=Masaki Hori 取材協力:ニューヨーク市観光局

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