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Forbes JAPAN Web編集部


木材だけでなく、壁の塗料なども自然のものにこだわった。サステナブルで、CO2の排出も少なく、環境に責任がある、本当の意味で「贅沢な」ホテルをつくるというポリシーは、建築時から徹底されている。

「排出されるCO2の実に90パーセントが建築時のものであり、建てた後の運営で排出されるのはたった10パーセントと言われています。多くのホテルは、建てた後に持続可能性のバランスを取ろうとしますが、建築時から考えなくてはほとんど意味がないんです。

私たちにとって、利益は第一の目的ではありません。だからこそ、最も安上がりという理由でコンクリートを選択したり、美しい大理石を敷き詰めた部屋のように、特定の人だけが楽しめる価格設定もしません。コンクリートの代わりに、もともとそこに生えていた木を切って使い、さらに300本の木を植えました」

できる能力がある人が変革を起こすべき


オーナーのフェイさんは、なぜここまで徹底した「持続可能なホテルづくり」にこだわるのか。どうして環境変動に加担しないホテルであることが、そんなに重要なのか。

HDHキャピタル・マネージメントの最高経営責任者であり、さらにその前にはリーマン・ブラザーズのシニア・インベストメント・バンカーとして金融業界でキャリアを積んできた彼だが、大学時代には化学工学を学び、卒業後には廃棄物を扱う会社で働いていたという。

「廃棄物を埋めた土壌を検査して、汚染がないか調べたり、印刷会社から放出された煙の内容を分析したりするのが仕事でした。約30年前のことですが、非常に憂鬱だったのを覚えています。そのころの経験が原体験ですね。

過去と比較しても、短期間で廃棄物は倍々に増え、汚染も急激にひどくなっています。しかし、人々は口を揃えて『政府がなんとかしてくれる』『私は忙しい』「私の問題ではない』と言うだけで、何もしません。だからこそ、私たちのように何かできる能力を持つ者が変革を起こさなければならないのです(For those of us who has ability to do something we should do it.)。

フェイさんは、ししいわハウスと同じコンセプトのホテルを、この5年で日本各地に20軒ほど建てる計画だと言う。2021年には軽井沢に2軒、その後は箱根にも開業予定だ。

「日本のホテル業界はさまざまな理由で長らく変化していません。これは、それまでのやり方をことごとく変えようとしている私たちにとって、素晴らしい機会となるでしょう。

自然も豊かで、食べ物や文化が洗練されている日本は、世界の主要な観光地です。ですから、日本を訪れた人たちが私たちのホテルに滞在することで、人々はサステナビリティについて考え、学び、理解して、その考えを自国に持って帰ってくれるでしょう。声を集めて支持を増やし、人々の認識を変えていく。私たちのホテルがプラットフォームであると言ったのはそういう意味です。

既存のホテル業界が、私たちのように環境に責任あるホテルの建築を検討し始めたら、とても大きな変化が生まれると思いませんか」

5つ星ホテルの豪華さとは違う、「ラグジュアリー」の再定義に挑戦している「ししいわハウス」。ぜひ自分を癒す贅沢な時間を過ごしてほしい。


ししいわハウス
Address:〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-646
Tel:080-7691-6020
URL:http://www.shishiiwahouse.jp
3月の料金:1室2名朝食付き4万3908円〜(税・サービス料込)
4月以降の料金:1室2名朝食付き4万8787円~(税・サービス料込)

公式サイトはこちら>>

文=松崎美和子 写真=平井広行、松崎美和子(Huy Hoang氏、紙管家具)

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