会長職を退任した2019年には、アリババグループの時価総額を世界7位にまで押し上げたマーの名言を紹介する。
アリババグループ創業者、ジャック・マー
マーは1964年、中国浙江省生まれ。中学、高校での成績はあまりよくなかったが、英語だけは得意だったという。
大学受験に2度失敗、30社以上の会社に応募して全て不採用になるなどの苦労を重ねながら、99年にアリババグループを創業。世界中のバイヤーと中国企業を繋ぐアリババドットコムや、C to Cサービスの「タオバオワン」、オンライン決済サービス「アリペイ」などの事業を展開してきた。
2019年9月には各事業の経営から身を退いたが、現在も今後の動向に注目が集まっている。
1. 「この世界には満足できないこと、変えられないことがある。しかし、自らを変えることこそが、未来を変えることになる」
アリババグループは11年の東日本大震災の際、日本に約4500万円の義援金を拠出。社内では、なぜ多額な寄付を他国に行うのかという批判もあったという。
それに対してマーは、「自分が寄付をしないからという理由で、人に寄付をするなと言うのは間違っている」と伝えた。そして、寄付ですぐに被災地に復興することはなくとも、寄付をしたお金は確実に小さな変化に繋がり、そこから世界は変わっていくと語った。
2. 「自分を疑ってもいい。信念を疑うな」
マーは「世界中から、やりにくいビジネスをなくす」という信念でアリババを創業した。この信念は常に疑うことなく、ビジネスのやり方は正しいのか、戦略は間違っていないかと、常に自分に問いただしてきたという。
3. 「人々からの信用で得たお金は社会のために使うべきだ」
マーは19年、フォーブスが発表した世界長者番付で21位にランクイン、総資産は約370億ドルに達した。アリババグループは、世界トップクラスの時価総額を誇る企業に成長したが、マーはその利益は人々や社会から与えられた「信用」だと考えている。
4. 「物事を完成させることは男性の得意分野だが、より上手に処理するのは女性だろう。ただし、一番いい形で完成させたいなら、男女が一緒にやるべきだ」
19年8月、杭州市で開いた女性起業家大会で語った言葉。マーは、「女性は他人の感情を読み取り、活発にコミュニケーションを取るため、ユーザー体験の観察が深い」と考えている。
女性起業家大会では、日本に何度も出張した経験についても触れ、会議室に入ると「そこにいるのは銀髪の男性幹部ばかりだった」と発言。日本も、もっと女性や若手が活躍していくべきだと訴えた。
5. 「もし本を出すとしたら『アリババの1001個のミス』を書きたい。人生で最も重宝しているのが、失敗だから」
「30歳まで落ちこぼれだった」と語ったマー。大学受験や就職の失敗の他、91年に翻訳会社を、95年にWebサイトの構築会社を起業するも経営状況はよくなかった。
現在では世界的企業に成長したアリババも、創立した数年間は、収益モデルに苦心し、順風満帆にはいかなかったという過去がある。