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米国のワーナーミュージック・グループは2月6日、IPO申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出したが、上場計画を撤回した模様だ。ロイターが関係筋から得た情報によると、新型コロナウイルスの感染拡大や、世界的な株価の下落を受けて、同社はIPO計画を見送るという。

ワーナーミュージックは音楽業界3位の企業で、IPOにより10億ドル以上を調達すると期待されていた。同社の所属アーティストにはカーディ・Bやエド・シーラン、ブルーノ・マーズなど有名ミュージシャンが多数いる。

同社の上場の主幹事はモルガン・スタンレーとクレディ・スイス、ゴールドマン・サックスが務めるとされていた。ワーナーミュージックはIPOの実施にあたり、ストリーミング市場における優位性をアピールしようとしていた。

しかし、世界的な感染拡大が予想される中で、音楽業界では今後の市場の動向への懸念が高まっている。BTSやグリーンデイ、ストームジーらの有名アーティストも既に、ツアーの延期や中止を発表した。

ワーナーミュージックがIPO計画を発表したのは、同社が過去16年で最大の四半期売上を報告した1週間後だった。同社は直近の四半期で12億6000万ドル(約1360億円)の売上を記録し、前年同期比で4%の伸びだった。

ワーナーミュージックは15年前にもIPOを実施していたが、2011年にアクセス・インダストリーズに33億ドルで買収され、非公開企業となっていた。アクセスを率いるLen Blavatnikはロシアの油田開発で財を成した富豪で、現在の保有資産は201億ドルとされている。アクセスは映画やメディア、ホテルや化学企業に盛んな投資を行っている。

ワーナーミュージックの競合のユニバーサルは、株式の10%を中国のテンセントに売却しようとしている。ユニバーサルの親会社のヴィヴェンディによると、同社の企業価値は330億ドルとされたという。

ワーナーミュージックの現在の企業価値は不明だが、ユニバーサルの市場シェアが約31%で、ワーナーミュージックの市場シェアが20%であることから考えると、ワーナー・ミュージックの企業価値は、アクセスが約10年前に支払った33億ドルを大幅に上回ることは確実だ。

編集=上田裕資

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