過去およそ10年の大半において、シェイクシャックは“高級”ファストフード店のなかでも特に高い人気を得てきたチェーンだ。さらに、ここ数年間には急激な成長を遂げてきた──だが、結果としては、それはあまりに爆発的な成長だったといえるのかもしれない。
同社は2月24日、2019年第4四半期(12月25日まで)と通期の決算結果を発表。その内容について、アナリストたちはさまざまな問題点を指摘している。そして同日以降、株価は軟調に推移している。
全体の売上高は前年同期比22%増、通年では同29.4%増となった。だが四半期でみれば既存店売上高が減少。店舗を増やしすぎた可能性があるといわれている。通年の既存店売上高は1.9%増加したが、成長軌道にある企業としては、楽観視できる材料ではないという。
金融サービスの米モトリーフールは、シェイクシャックの店舗がすでに米国の主要都市すべてに少なくとも1店舗はあること、郊外の多くや、有名大学周辺の地区には複数開業していることを指摘している。
第4四半期中に開店した店舗のうち12店は、近隣に既存店がある。これは、「どこにでもあるわけではなく、列に並び、より高い価格を支払う価値がある店だ」というシェイクシャックのこれまでのイメージを損なうものだ。ファストフード業界の情報を専門に扱う誌QSR誌によれば、同社は痛みを伴う成長を経験しているという。
シェイクシェイクは2019年、前年より32.2%多い73店舗をオープン。年末の時点で、運営する店舗は国内の直営店とフランチャイズ店、外国の店舗を合わせて275に達した。これらのうち約半数が、デリバリーサービスも行っている。
同社幹部らは、現在のボラティリティ(変動性)は乗り切ることができると見込んでいる。タラ・コモンテ最高財務責任者(CFO)は決算発表で、「デリバリーに関する目標に変更はない。長期的に確実に売上高を伸ばし、同時に顧客経験を最優先に考えていく」と語った。
だが、店舗網の拡大によって、消費者の間に再びこれまでのような”バズ”を生み出すことはできない可能性がある。シェイクシャックは今後、ハンバーガーやチキンの新メニューの開発を進めて消費者の関心を集め、同時に店舗数も増やし続ける計画。だが、第4四半期の経験は、同社への警鐘ともいえそうだ。増やすよりも、少し店舗を減らす必要があるのかもしれない。