ビジネス

2020.03.03

「ヴィクトリアズ・シークレット売却」背景にリアーナの猛追

人気歌手リアーナ(Photo by Andrea Raffin/Shutterstock.com)


インクルーシビティ(多様な人を受け入れること)への投資


インクルーシビティをブランド設定の中心に据えているリアーナは、サベージxフェンティの立ち上げ当初から、さまざまな肌の色のモデルやプラスサイズのモデルを起用して、成功できるビジネスを築いてきた。

2019年9月には、新たに5000万ドルの資金を調達。これで、2018年5月の立ち上げ以降に同ブランドに投資された金額は7000万ドルとなった。リアーナは、ソーシャルメディア上での自らの影響力を利用して、オンライン発の同ブランドを、推定年商1億5000万ドルのブランドへと急成長させた。

サベージxフェンティのランジェリーラインの展開に先立ち、リアーナは2017年、メイクアップ・コレクションのフェンティビューティー(Fenty Beauty)を立ち上げて成功させている。フェンティビューティーの2018年の収益は推定5億7000万ドルで、評価額は30億ドルを超えている。彼女が成功の秘訣を見つけたのは明らかだ。

今後の展開


女性たちが、ランジェリー業界における従来の(性的特徴をアピールする)イメージの見直しを求めるなか、同業界内において、多様性とインクルーシビティは今後もきわめて重要な要素であり続けるだろう。プッシュアップ・ブラのレガシーブランドであるヴィクトリアズ・シークレットにとって、リアーナによるランジェリー市場での猛追と完全奪取をかわすことは、既にきわめて難しいことが証明されている。

だが、ヴィクトリアズ・シークレットにとって全ての希望が失われたわけではない。同ブランドは今でも、アメリカで最大のランジェリーブランドであり、コアサイト・リサーチ(Coresight Research)によれば、市場シェアは2013年の32%から下落したものの、いまだに24%のシェアを誇っている。

エルブランズの純負債は約55億ドルにのぼっているが、ヴィクトリアズ・シークレットの売却によって得られる11億ドルによって、負債を20%近く減らせる見通しだ。

翻訳=森美歩/ガリレオ

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