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新型コロナウイルスの感染拡大が世界の経済・金融情勢を揺さぶっている。各所で「リーマンショック級」という形容詞を頻繁に目にする。確かに株式を筆頭と資産価格の調整幅は2008年9月直後の最悪期を彷彿とさせるものだ。しかし、リーマンショック“級”であっても、やはりリーマンショックを凌ぐほどの話ではないだろう。

リーマンショック後の金融市場で最も恐ろしかったことはあらゆる資産価格が急落したこと……ではない。市場取引が干上がってしまい、保有している金融資産を売ることすらできない状況が出現し、もはや自分の残高がいくらあって、いくら損失を被っているのかも把握できないという「流動性の枯渇」が最も大きな恐怖だった。今回の騒動はその域にまでは達しておらず、その意味でリーマンショックよりはましである。

コロナショックの「傷跡」を確認する局面へ


とはいえ、今の世界の経済・金融情勢にとって「リーマンショックよりまし」と言われても気休め程度だろう。流動性の枯渇がなくとも資産価格や景況感など足の速い計数の落ち込みは苛烈さを極めている。

2月29日に公表された中国2月製造業PMIが、35.7とリーマンショック時の水準(38.8)を下回ったことは象徴的である。なお、これまで相対的に堅調だと喧伝されていた非製造業PMIも前月比 -24.5ポイントの29.6と目を疑うような数字(もちろん過去最低)が示されており、経済活動の強制的な停止が中国の内需を直撃した惨状が良く分かる。

3月に入り、続々と2月分の状況を反映した計数が発表されることになる。金融市場はこれからコロナショックの「傷跡」を確認する局面に入る。

コロナショックで浮き彫りになる米金利の大きな低下


新型コロナウイルスの脅威性や終息目処については専門家の知見に任せる。しかし、今回のコロナショックに伴う金融市場(とりわけ金利・為替市場)の動きについて1つ重要なことがある。それは今回の混乱に乗じて見られている米金利の低下幅が日欧のそれと比べても突出して大きいということだ。

2月の日米独仏の10年金利の変化幅を振り返ってみると良く分かる。10年金利に関し、米国が約0.35%pts低下したのに対し、日独仏はその半分以下の低下幅にとどまっている。結果、対米金利差は顕著に縮小した。

もちろん、マイナス金利とプラス金利という絶対的な溝がある以上、ドルに投資妙味があることは間違いない。しかし、投資妙味が毀損していることもまた、間違いないだろう。

例えばFF金利に関し、3回利下げしても1.75%(2.50%→1.75%)の水準があった2019年と、3回利下げすれば1.00%ちょうどまで落ち込んでしまう2020年では、市場参加者のドルに対する目線は異なってきて当然だろう。利下げ後の1.75%はそれでも先進国中、突出して高い政策金利であった(カナダも1.75%で互角)。

文=唐鎌大輔

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