photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
トライ&エラーでここまで来た。その片鱗を見せたツアーファイナル。
満員になった会場で10分押しの開始となったが本公演。最初の起爆点となったのが3曲目『We are』ではないだろうか。ライブを聴いて驚いたのが、みんながみんなこの英詞の楽曲を大合唱できるという点だ。それもそのはず原稿を書く段になって知ったのだが、実はこの楽曲、過去にファンとの交流で大きなインパクトを巻き起こしたことがある。
「ONE OK ROCK 18祭(フェス)~1000人の奇跡 We are~」と題された番組が、総合テレビで放送された。ONE OK ROCK」と1000人の18歳世代が一緒にひとつのステージを作り上げるという内容で「We are」を制作。そうした様子が18歳世代のみならず、親世代、高齢者からもたくさんの賛辞が寄せられたことでも話題になった。ある意味ファンの気持ちが後押しする形で作られたこの楽曲が制作された。つまりONE OK ROCKとファンの“絆”の証を示すギフトのようなものなのだ。
勢いを増した彼らは続けざまに激しい楽曲を畳み掛ける。5曲目の「Re:make」の終わる頃にはTakaが「もっと頂戴よ、ファイナルだよ。足んないよ」とMCでファンを煽り会場の雰囲気をドライブさせていった。そこからの彼らは横綱相撲と言ってもいい。10曲目が終わる頃にはファンをステージに上げて談笑する。
こうしたコミュニケーションを大事にする姿勢は、長い闘いを続ける彼らにとってもブレずに自分達である続けるための“憩い”の時間になっているようにも思えてならない。
“軋轢”やファンとの“衝突”を恐れず前進する。
photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
もっとも、彼らの闘いの歴史とバンドのスタンスを表明する上で一つのエポックが、アンコールの時間に訪れる。今までずっと拒んでいたスマホ撮影を「Stand Out Fit In」で解禁したのだった。しかしファン達がスマホを一斉に傾けると、なんだろう。会場がこれまでずっと保ってきた高いボルテージとグルーウがわずかながら下がるのだった。
それを見逃さずTakaは「なんで撮影が駄目かわかるか? お前らがカメラを向けた瞬間に、この会場の空気(テンション)が一気に下がるからなんだよ。じゃあどうしたらいい? 撮りながらでも盛り上がろうぜ、いいか!?」と語る。
実際のところ、これが彼らの思惑だったとは思わない。うまくハマれば使っていただろう。トライする中でうまく自分達の在り方に共存できるのであれば、気にすることなく続けていたようにも思える。彼らは毎度ルールや常識の壁のなかでそれを打ち破るすべを実践してきたのだ。
そして議論を巻き起こし、ファン対バンドの衝突や賛否両論巻き起こるリスクを理解した上で歩みを止めることなく実践し続ける。そうしてステージでできる限りの言葉を尽くし、全身全霊で音楽を表現し続ける。その弛みのないスタンスが続いてきたからこそ、ファンたちを巻き込み、ONE OK ROCKは前進していけるのではないだろうか。