経済・社会

2020.03.02 17:00

因果応報 ゴーン軍団「チーム国外逃亡」の痛い末路

カルロス・ゴーン(Richard Bord/Getty Images)


2018年4月にゴーンが保釈された後、日時は定かではないが、テイラーは来日。彼らがチームを編成して行ったのは、ゴーンを監視する者がいるかどうかだった。テイラーたちはゴーンを尾行する二組の存在を発見する。一つは日産が依頼した警備会社である。24時間体制でゴーンを尾行し、日産の関係者と会って証拠隠滅を図らないか、警備会社は密かに監視をしていた。
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ゴーンの弁護人、弘中惇一郎弁護士はこれを「重大な人権問題」と訴え、昨年7月に刑事告訴すると表明。これによって、テイラーたちの「邪魔者」が一組消えた。しかし、残るもう一組は誰なのか。

ゴーンを尾行・監視するもう一組とは、東京地検の関係者であった。ゴーンを尾行する検察関係者を、その背後からテイラーのチームが尾行する。そこでテイラーたちは気づいたという。時々、ゴーンが外出して、六本木のグランドハイアットホテルに行くと、尾行していた検察関係者はホテルの中にまでは立ち入らないのだ。

テイラーたちはそこでこう考えたという。「だったら、ホテル内でゴーンと会っても、ばれることはない」と。ゴーンの保釈条件には、誰と面会したか記録する義務がある。だから、彼らはなかなか相談をする場所がない。しかし、ホテル内であれば、ゴーン本人と面会しても監視されていないため、ばれない。
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ちなみに、テイラーの息子、ピーター・テイラーは弘中弁護士の事務所内でゴーンと会っており、検察は「逃亡の打ち合わせを事務所内で行った疑いがある」と見ている。ホテルと事務所、どちらで打ち合わせをしようがしまいが、テイラーたちは「抜け道」を見つけ、さらに関西空港とMNGジェットという次の抜け道を用意するのである。

こうして一連の国外脱出を見ていくと、もともと公然と抜け道が存在するため、逃亡自体はそう難しいものではなかったことがわかる。しかし、脱出は成功したものの、明かしたくなかったテイラーの過去が白日のもとにさらされたうえ、アメリカ世論の嫌われ者、ジョン・コノリーとの付き合いまでが報じられた。犯人隠避の容疑で逮捕状も出ている。もはやマサチューセッツ州の自宅に帰ることはできないだろう。

一方、フランスの検察は、ゴーンによるルノーから資金流用やマネーロンダリングの疑いが強まったとして、裁判所に予審手続きの開始を発表した。「チームゴーン」が悪い方向に転がっているように、ゴーンの未来も決して明るいとは言えないのではないだろうか。

文=ForbesJAPAN編集部

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