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金融の善悪、不穏について執筆

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 モルガンスタンレーの(財務責任者CFO)だったルース・ポラット氏(57)はIT最大手グーグルへの移籍により、ウォール街を遥かにしのぐ巨額な報酬を手に入れた。

 グーグルが3月26日、監督当局に提出した書類によれば、ポラット氏には2015年に合計3,065万ドル(約37億円)の報酬が支払われる予定。その内訳は基本給65万ドルに加え、契約金が500万ドル。さらに2,500万ドル相当の制限つき株式が付与される。

 その報酬額の大きさは、現在のウォール街とシリコンバレーのパワーバランスの変化を示唆している。金融危機以降のウォール街は雇用機会が減少し、報酬も低下している。
モルガンスタンレーを去る直前のポラット氏には、800万ドル~1,170万ドル程度が支払われていたが、グーグルが支払う金額に比較すると、かなり見劣りしていることは否定できない。

 ゴールドマン・サックスのグローバル共同責任者だったアンソニー・ノトが7月にウォール街からツイッターのCFOに移籍した例も同様と言えるだろう。
ツイッターのノト氏への報酬は25万ドル。さらに、7,500万ドル相当の制限付き株式万の付与があり、ストックオプションの行使も可能だ。

 今や、シリコンバレーのハイテク企業にCFOにウォール街の重役が移籍するケースは珍しくは無い。テクノロジー企業の市場での存在感が増すにつれ、有名テック企業はS&P500社と同様な対投資家コミュニケーション能力が必要になってきたのだ。

 アップルのティム・クックCEOは株式買戻しや配当について投資家との激しい議論に勝利し、史上最大の投資利益を実現した。こういった資本政策スキルや投資家への対応力はウォール街出身者こそが身につけた能力といえるだろう。

 ツイッターのノト氏は、移籍後の数週間のうちに、SNSの成長性や強気な財務目標を打ち出し、投資家とのコミュニケーションの改善に乗り出した。ポラット氏がモルガンスタンレー時代に培った経験は、グーグルの大きな力となるだろう。

 現在、グーグルには500億ドル近くの余剰キャッシュがある。その資金をファイバー・ネットワークのインフラ構築をはじめ、ホームネットワーク・テクノロジーや自動運転技術、新製品開発等のプロジェクトにどのように投下し、投資家に利益還元するのかが重要な課題になっている。

グーグルCFOへの就任に際し、ポラット氏は下記のように述べた。

「私のルーツであるカリフォルニアに戻り、グーグルに参画できて大変光栄です。シリコンバレーで育ち、モルガンスタンレー時代を通して、またスタンフォード大学の評議会議員として、ハイテク企業が人々の暮らしに貢献してきたことを実感してきました。グーグルでのスタートを大変待ち遠しく思います」

編集=上田裕資

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