ビジネス

2020.03.02 16:30

ウォルマートが会話型コマース「Jetblack」の失敗から学んだこと

Jonathan Weiss / Shutterstock.com


コンサルタントのケン・ロンヤイは、「今回のケースは、小売りのアプローチとしては変則的なものだったから、廃止になったことは驚きではない」と書いている。「また今回の例は、かなり異例なやり方だったため、会話型コマースについての洞察はほとんどもたらさない。学べる教訓があるとすれば、それはこういうことだ。顧客のニーズを満たす、あるいは、彼らが口に出さない願望を慎重に見出すことは重要だ。しかし、テクノロジーが使えるという理由だけでテクノロジーを導入することや、吟味が不十分なコンセプトを導入することは何としても避けるべきだ」
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ウォルマートのラビ・ジャリワラ広報担当はCNBCに対して、ジェットブラックの従業員350人のうち58人は、同社の会話型コマース技術チームに統合されることになると語った。

ジェットブラックのサービス停止は、不採算事業のコストを削減するというウォルマートによる取り組みの一環だ。同社は過去1年のあいだに、オンライン・アパレルブランドのモドクロス(ModCloth)を売却。メンズウェアのオンラインショップであるボノボス(Bonobos)およびJet.comについては従業員を削減し、家具ブランド「ヘイニードル(Hayneedle)」のネブラスカ州オマハ本社を閉鎖している。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によればウォルマートは、ジェットブラックの会員1人あたり年間およそ1万5000ドルの損失を出していた。高級ファッションのレンタルサービス「レント・ザ・ランウェイ」の共同創業者で、立ち上げ当初のジェットブラックのCEOとなったジェニー・フレイスは、2019年10月に退社。後任のCEOには、ウォルマートのeコマース・ロジスティックス担当上級副社長ネイト・ファウストが就任した。
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ブレイントラストの専門家の中には、この損失額について、どうかしていると指摘する声もあった。

「ウォルマートがなぜ、顧客1人につき毎年それほどの損失を出していたのか、よく理解できない」とローゼンブラムは書いている。「原価配賦に問題があったのではない限り、ソフトウェアが原因とは考えにくい。この問題についてはおそらく、後で明白になるだろう」

AIを活用したショッピング・サービスを提供するプレファイ(Prefeye)のシンシア・ホロコムCEOは、「現実の問題を解決するために、きわめて少ない資本で取り組みを行っているスタートアップ企業はたくさんある」と書いた。

「豊富な資金を持つ小売業者のイノベーション研究はすぐに、資金を潤沢に費やしながら実世界での存在根拠を模索するようなプロジェクトになってしまう。今回の例は、資金の使い方として誤っていた。もしもウォルマートがスタートアップ企業だったら、投資家たちがジェットブラックの『探検』に資金を出すことはなかっただろう」

翻訳=ガリレオ

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