ジェットブラックは、マンハッタンとブルックリンの富裕層を対象にした会員制サービスで、人間とAI(人工知能)の対応を組み合わせた製品レコメンデーションを提供していた。ウォルマートのスタートアップ・インキュベーター「ストア・ナンバーエイト(Store No8)」が、初めてのプロジェクトとして2018年に立ち上げたものだった。
同サービスは、会員が月50ドルを支払えば、生鮮品を除くさまざまな商品をテキストメールで注文し、玄関先まで配達してもらえるものだった。取扱商品の大部分は、ウォルマートまたはJet.comの商品だが、その他の商品も、地元の小売店や各種ブランドのサプライヤーから取り寄せることができた。
ストア・ナンバーエイトの次世代小売りおよび調達担当上級副社長スコット・エカートはウォルマートのブログで、「ジェットブラックを通じて、顧客がテキストメールで注文できる機能にどう反応するのか、テキストメールでどのような種類の商品を購入するのかなど、多くのことを学んだ」と書いている。「我々はジェットブラックから学んだことを、ウォルマートの中核能力に応用していくつもりだ」
小売業に関するオンライン・フォーラム「リテール・ワイヤー」のオンライン・ディスカッションでは先週、同サイトの専門家グループ「ブレイントラスト」のメンバーたちがこの問題について議論。ウォルマートがジェットブラックからどれだけのことを学んだかについて検証した。
ブラックモンク・コンサルティング(Black Monk Consulting)のライアン・マシューズCEOは、「デジタル空間では、失敗の頻度も高いし、そのスピードも速い」と書き込んだ。「ジェットブラックの例から、ウォルマートを含む私たちが学ぶことができる教訓は、早めに切り上げるべき時がある、ということだ」
RSRリサーチのマネージング・パートナーで、フォーブスのコントリビューターでもあるポーラ・ローゼンブラムは次のように書いた。「ウォルマートは徐々に、従来よりも高所得層を対象にした市場に参入しつつあるが、月会費50ドルを払える層が、それをウォルマートのパーソナル・ショッピング・サービスに使うとは、私には思えない」