「世界の終わりのよう」ヨーロッパもコロナの不安に飲まれるのか

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普段と変わらない生活を送る努力


今後も感染具合とメディアの報道次第でヨーロッパの雰囲気は大きく変わるであろう。薬局やスーパーが大混雑したりする様子も今のところない。いかなる状況に陥っても、困惑しすぎずに生活を送れることが第一であることをヨーロッパ全体が認識しているように思える。

街中が炎に覆われたスペインのカタルニア州独立運動のデモがあった時もそうだったが、今回のウイルスの件でも、ヨーロッパの人々は緊急時、比較的落ち着いているように思える。悪く言えば、いつも何らかの出来事に対して「ひとごと」のようなスタンスだが、裏を返すと、「普段と変わらない生活を送る」ことを心がけているように思える。「今我々ができることは何もない。事態が悪化しないように見守ること、そして危険な場所に近づかないことだけだ」といった感じだ。

必要以上に振り回されない、冷静な判断が重要


先ほど述べた、イタリアに戻るよう両親に促されたシチリア島出身の女の子は、次のようにも述べた。「イタリアに戻ったって、何もせずに家にいるわけでしょう?世の中に振り回されて時間を勿体無く使ってしまうなんて、それほどおかしなことはないわ」。彼女の発言やヨーロッパの人々を見ていると、彼ら彼女らの生活をマイペースに保つための意識の高さがうかがえた。

ミラノのように、政府により外出や出勤を禁じられたりすると、さすがにいつも通りではいられないが、それでも不自由な中でも自由や笑いを求めている姿が見られる。

BBCニュースでインタビューに応じたロンバルディア州のとある女性のコメントが印象的だった。「事態が深刻になり、もともと予定されていたカーニヴァルは中止されました。その知らせを聞いた旦那は、突然ウィッグを被ってスーパーに向かったのです。彼は、暗い雰囲気に飲まれていく人々に、笑うきっかけを与え、元気付けたかったのです」

不安と心配で溢れる世の中だが、それに必要以上に振り回されまいという考えは緊急時に一番大切なことであると今回の件で感じた。これからの時代、気候変動もあり、予測できない災害や出来事が増えてもおかしくない。緊急時のために、避難訓練や非常食などの事前準備も重要だが、それらと同じくらい「日常への支障が少ないための冷静な判断」が緊急時に人々をストレスから救うのでは無いかと筆者は思う。

パンデミックの中心ヨーロッパ、人々の大混乱と「救い」の動画

文=裵麗善/Ryoseon Bae

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