「塩」は敵か味方か? 食塩の規格への問い

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残念なことに現在の日本、いや世界(世界中どこも一緒)は安価のためか、消費者はイオン交換膜製塩法で製造された塩を「食用塩」として大量に使用してます。また多くの食品メーカーも、この食塩を使用しています。

家庭にある食卓塩の裏面を見ていただければわかりますが、その食塩は、世界規格を超えて、成分の99%以上が塩化ナトリウムであることが多く、天然の海塩のようにミネラルを補うことは期待できません。

ただ、日本では1997年4月に塩の専売制が廃止され、2002年4月に塩の製造販売が自由化されたため、財務省への届出等をすれば塩の製造・販売等を行ことができるようになりました。それに伴い、沖縄、九州、四国、小笠原、大島など、日本各地で少数ながら昔ながらの製法で自然の海塩が作られており、少しずつですが改善の兆しもあります。


石垣島の満月の塩

しかし、どの自然塩でもミネラルが多いかというとそういうわけでもないため、購入時には成分表示を見ることをおすすめします。またミネラル多く含んだ自然塩だからといって大量に摂取していいというわけでもないので、その塩梅は大事にしたいところです。

呼称の間違いが故障を生む


アメリカ大陸を発見したコロンブスが唐辛子を「チリペッパー」や「ホットペッパー」と呼んだ結果、胡椒と同様に認識されたそれが、味蕾への刺激となり味覚障害になるきっかけを生んだと、以前コラムで紹介しましたが、塩分過多が問題となりつつあるい今、塩という呼称の定義を世界で見直すことが重要なのではないかと思います。

食用塩は、「塩化ナトリウム97%以上」ではなく、「塩化ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル含んだ海塩である」とできたら、コーデックス委員会の目的である「消費者の健康の保護」ももっと達成されるのではないでしょうか。

連載:喰い改めよ!
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文=松嶋啓介

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