ビジネス

2020.02.29

アマゾンCEOの環境対策基金、実効性に期待はできるか

Photo by Karen Ducey/Getty Images


ベゾスは具体的に、何に資金を充てるべきだろうか? 太陽光発電所や風力発電所などのインフラ建設も考えられる。だが、より効果的だと考えられるのは、グリーンテクノロジーへの投資だろう。

この分野のスタートアップや環境関連の問題を研究する機関こそ、私たちが気候変動と戦うための最強の武器になるかもしれない。核融合発電から水素発電、小型原子炉、電気自動車、バッテリー、スマートグリッドまで、グリーンテクノロジーの分野に向けられるシード資金は、排出量ゼロの経済の実現に向けて、大きな役割を果たすだろう。

最も好ましくないのは、資金が政治献金に使われることだ。基金創設のための資金はベゾスの個人資産であり、使い方は自由だ。だが、クリーンエネルギーと経済成長のバランスを取るのは難しい。それを最も実現できそうにないのが政治家だ。

現時点では、ベゾスの基金に関するすべてが憶測と願望だ。今夏には何らかの発表があるとも予想されているが、広報担当者も今のところ、ただ「乞うご期待」のような言い方をするにとどまっている。

ただ、そうしたなかでもベゾスは、次の点を認めている。

「この危機を乗り切るためには、大企業や小規模の企業、国家、国際組織、そして個人による共同行動が必要になる」

これを認めている点においては、ベゾスは正しい。巨額の寄付が単なる「バーチュー・シグナリング(道徳的な活動を支援していると誇示すること)」に終わらず、実質的な方策と技術的なソリューションを導き出すものになることを願いたいところだ。

編集=木内涼子

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