シャラポワは2016年、禁止薬物のメルドニウムを使用していたことで出場停止処分を受けた。糖尿病の家族歴のため、およそ10年にわたってこの薬を服用していたという。出場停止期間は2年とされたが、シャラポワは処分の軽減を求めて提訴。15カ月に短縮された。
この一件をきっかけに、タグ・ホイヤーが契約を解消するなど、スポンサー企業が減少、収入も大きく落ち込んだ。2017年にはプレーに復帰したものの、その後は肩のケガに悩まされ続けた。
ただ、そうしたなかでも、すべてのスポンサー企業を失うことはなかった。シャラポワは、出場停止期間が終わるとすぐにスイス金融大手UBSと複数年の契約を締結。ナイキのほかエビアン、ヘッド、ポルシェなども、契約を継続した。
シャラポワのビジネスは、その後も大きな成功を収めている。関係筋によれば、2019年の売上高は2000万ドルに達したとみられている。いずれ衣料品やアクセサリーを扱うライフスタイル・ブランドに拡大することは、当初から計画していたとされている。
エッセーで引退表明
最後に出場した今年1月の全豪オープンでは、シャラポワは1回戦で敗退。世界ランキングでの最新の順位は、373位にまで下がっていた。2019年シーズンには、わずか15試合に出場するにとどまった。
ヴォーグとヴァニティ・フェアの2誌に寄せたエッセーで引退を表明した後、シャラポワはツイッターに、次のようなコメントを投稿している。
「テニスは私に世界を見せてくれた──そして、私を形作っているのが何であるかを教えてくれた。私はテニスで自分を試し、自らの成長を測ってきた」
「…人生の新たな章に、そして次に登る山として何を選ぶとしても、私は前に進み続ける。山に登り続ける。成長し続ける」