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2020.03.05

一種の「こんまり流片づけ」。アナログノート術が世界中で大ブームな理由

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どこにでもある1冊のノートを使って、多忙な現代人が抱える悩みをすっきりと解決する。そんな夢のようなノート術が世界中で話題だ。

私たちは、仕事や家庭で膨大なタスクを抱え、常にやるべきことに振り回されている。SNSを開けば大量の情報が飛び込んできて、目の前のことに反応するだけで精一杯だ。部屋を片づけるように、頭の中のごちゃごちゃもきれいに片づけたい。そんな悩みに応えるアメリカ発の「BULLET JOURNAL(バレットジャーナル)」というノート術が、世界中で熱狂的に受け入れられている。その初めての公式ガイド本として、開発者自身が書き下ろしたのが『THE BULLET JOURNAL METHOD(邦題:バレットジャーナル 人生を変えるノート術)』(ダイヤモンド社刊)である。

ノートを使ってどのように自分を管理するのか。なぜデジタル全盛の時代に、紙のノートが再び注目されているのか。この日本語版の編集者であるダイヤモンド社・市川有人氏に、その理由を解説してもらった。

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一気に世界中に広がったノート術


2018年末にアメリカで刊行され、すぐにニューヨークタイムズのベストセラーにも入った『THE BULLET JOURNAL METHOD』という本がある。これは、ニューヨークのデザイン会社に勤めていたライダー・キャロルというデジタルプロダクト・デザイナーが、幼少期からADD(注意欠陥障害)に悩まされた経験をもとに開発した、「BULLET JOURNAL」という特異なノート術の使い方を解説した1冊だ。

同書はその後、世界29カ国で刊行され、現在では世界的なベストセラーとなっている。日本でも昨年『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(ダイヤモンド社刊)として刊行され、現在のところ4万部を売り上げている。

私は、幸運にも同書の日本語版の編集を担当する機会を得たが、企画の出会いは2017年初頭にさかのぼる。執筆前の企画を海外エージェントから紹介されたとき、バレットジャーナルはまだ一部の手帳愛好家に注目されている、知る人ぞ知る存在だった。海外ではすでにいくつかのメディアで取り上げられていたが、日本人にとってのオフィシャルな情報源はキャロル氏が立ち上げた公式サイトのみで、そこに記載された使い方を参考に見よう見真似で実践している人がほとんどだった。

その後、SNSで使い方を投稿する人が増えたり、ファン・コミュニティが生まれたりして、ブームは日本をはじめ世界中へと一気に飛び火していく。中国語版の発売記念イベントでは、約1000人が集まり異様な熱気を帯びていたという。

なぜデジタル全盛の時代に、アナログのノート術がこれほど注目されるのだろうか。アジア圏では以前からノート術や手帳術を受け入れる土壌があったが、アメリカやヨーロッパでも起きているムーブメントであることに、デジタル時代の人々のメンタリティが読み解けるかもしれない。
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文=ダイヤモンド社・市川有人

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