ビジネス

2020.02.29

「ブラックフェイス」問題で、プラダがNY市人権委員会と和解

Tupungato / Shutterstock.com


ファッション業界の失態


ニューヨーク市人権委員会は、細部にわたって目を光らせ、ファッション業界の人種差別をめぐる過失や不備などに神経を尖らせている。プラダ以外にも、仏大手ファッション企業体ケリング(Kering)傘下のグッチ(Gucci)と、ブラックフェイスをめぐる騒動後に協議を行ってきた。グッチは2019年1月、顔の下半分を覆う黒いタートルセーターの襟部分に赤く分厚い唇をあしらった商品を販売。人種差別ではないかとの批判を受けた同社は7月に初めて、多様性などを担当するDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)職を設け、グローバルディレクターにニューヨークの弁護士ルネ・ティラード(Rnee Tirado)を起用した。

ファッション業界全体ではここ1年ほど、文化との融和が大きく進んだが、世界全体で3兆ドルの規模を誇る同業界は引き続き、ランウェイを歩くモデルや企業幹部が白人ばかりという状況に苦慮している。グッチは2018年、80年代から90年代にヒップホップファッションをオーダーメイド販売していた「ダッパー・ダン(Dapper Dan)」ことダニエル・デイ(Daniel Day)を迎え入れた。グッチのバックアップを受けた同氏は、ニューヨークのハーレムにアトリエとして一店舗をオープンしている。仏大手ブランドのシャネル(Chanel)も2019年7月、ダイバーシティとインクルージョンの責任者を新たに起用した。

プラダに課せられた今後の義務


プラダは、人権委員会と交わした和解文書のなかで、いかなる不適切行為についても言明していない。ただし、署名から120日以内に、常任のダイバーシティ担当役員を任命しなくてはならない。

和解で盛り込まれた建設的な項目には、ファッション業界でキャリアを積もうと考えている人種的マイノリティや過小評価されてきた人々を対象に、プラダが奨学金制度と有給インターンシッププログラムを社内に初めて創設するというものがある。プラダには今後2年間、委員会への報告義務が課せられており、ニューヨーク市人権委員会は引き続き、プラダに目を光らせていくだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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