赤黒い傷のインパクト。傷口のケア、心をかけて、手をかけて|乳がんという「転機」#11

北風祐子さん(写真=小田駿一)


care, cure


この傷口たちの自宅での処置のしかたについて、親友で医師のMはものすごく丁寧に教えてくれた。Mの教えはこうだ。テープの種類と効果、替えるタイミング、シャワーの浴び方……将来できるだけ痕が残らないように。きれいに治るように。

ケロイド防止のテープ類は紹介されたか。病院で自然に剥がれるまでそのままほっておくように言われたテープは、ステリーストリップというとてもよいものであること。傷の上下の皮膚を引っ張っていて、傷口自体に引っ張られるテンションがかからないように維持ができる。

難しくて、わかったような、わからないような。ともかくステリーはそのまま付けておいて、なるべく長くもたせる方がいい。今ついている量だけで8000円くらいするとのこと。(えええっ?! 横2ミリ縦1センチの小さなテープが10個くらい。それで8000円?! 80円じゃなくて?)

シャワーもステリーの上から泡で洗う感じで。しっかりしていれば1カ月弱もつ。ステリーを貼っているところは石けんOKだが、まだ治っていない傷は洗うほどにケロイドになるから洗わない方がいい。テープを貼った状態でシャワー浴び、テープが湿っていたら張り替える。

本当は張り替えも少ない方が良くて、ドラッグストアなどで売っている、表面が防水のテープがいろいろな大きさで売っているから、それをずっと貼りっぱなしにしておくのがいい。子どもの膝の擦り傷などもそうだが、ジクジクしている傷を乾かした方が早くかさぶたができるのでは、という考えは最近覆った。傷口をきれいに治すには、湿潤していた方が良い。

かゆいなら剥がすべき。伸縮性のあるメッシュのタイプはかゆがる人多い。テープの縁の四角い形に色素沈着するか水疱ができたりするから、早く剥がして前述の防水加工している(内部はガーゼが真ん中についている)ものに替えるように。

ステリーが完全に剥がれて傷がただれていなければ、このゲルを塗るように、と送ってくれたのがこちら。

乳がん 傷

学会で有名な形成外科の女医さんが絶賛していたということで、取り寄せてくれた。

術後、腕は、固まってしまうのを防ぐために、リハビリして動かすべきなのだが、そうするとやはりひきつれを感じる。それゆえ前胸部の傷はケロイドになりやすいそうだ。ジクジクが治ったらゲルを塗って、表皮が動いて引っ張られるのを防ぐといい、とのこと。このあと実際に2本分使ったが、効果抜群、ケロイドも防止できているようだ。
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文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

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乳がんという「転機」

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