そして、航空各社が出し惜しんでいるのは、スナックだけではない。荷物の有料化から、新たに登場したベーシックエコノミー運賃まで、アメリカの大手航空会社は、ありとあらゆる費用削減策を模索している。
その上、航空機乗客の権利擁護組織「エアヘルプ(AirHelp)」の最新調査によれば、アメリカの三大航空会社(ユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空)は、フライトの遅延やキャンセルに関して、乗客から寄せられた苦情の4分の1を不当にはねつけているという。
この調査では、EC 261(EU内およびEU発のフライトの乱れに関して、乗客が補償を受ける権利を定めた欧州連合規則)の違反を基準として、フライトの遅延やキャンセル後に乗客に補償を提供していない航空会社を調べた。調査できたのは、EU内およびEU発着のフライトだけだが、それでもその結果は驚くべきものだった。
航空会社が苦情を不当にはねつけるケースが増加
ユナイテッド、デルタ、アメリカンは、フライトの遅延またはキャンセル後に乗客から寄せられた苦情の25%を不当にはねつけていた。最もひどかったのはユナイテッドで、却下した苦情は40%にのぼっていた。
さらに、エアヘルプの調査では、過去3年で航空会社の苦情対応が悪化していることもわかった。ユナイテッドが苦情を不当に却下する割合は、2018年から2019年に急上昇していた。エアヘルプによれば、平均すると、2019年に航空各社が却下した苦情は、2018年と比べて30%多かったという。
バウチャーよりも現金を選ぼう
エアヘルプによれば、フライトのオーバーブッキングやキャンセルに遭遇した乗客は、バウチャーを受けとるように航空会社から説得されることが多いという。だが、それで納得するのは大きなまちがいだ。
「バウチャーよりも現金を選ぶほうがいい」とエアヘルプのジョニー・クワック(Johnny Quach)最高プロダクト責任者は述べている。「たいていの場合、バウチャーには有効期限や制約の但し書きがあり、金額にして700ドルほど価値が低くなる。この金額は、EC 261にもとづき、運行の乱れに対する補償として請求できる可能性がある」