コロナ対策に出遅れの米トランプ政権、議員から強い非難

Photo by Tasos Katopodis/Getty Images

米国のトランプ政権は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための、十分な措置を講じていないとの批判を浴びていた。ドナルド・トランプは2月26日、副大統領のマイク・ペンスを新型肺炎の対策担当に任命すると発表した。

ペンスは今後、CDC(疾病予防管理センター)などの機関と連携をとりつつ、対応を検討し、大統領に様々な選択肢を提案していくと述べた。

米国では政府機関や議員らが新型コロナウイルスの危機を警告する一方で、トランプは「メディアが脅威を大げさに騒ぎ立て、市場を混乱に導いている」と不満を述べていた。

一方で、ペンスの過去の公衆衛生の危機に対する取り組みが、不十分だったと指摘する声もあがっている。ペンスはインディアナ州知事だった2015年、州内で発生した静脈注射薬物の使用によるエイズウイルス(HIV)の感染拡大を受けて、非常事態宣言を行った。

しかし、ペンスが初期の段階で、注射針の無償交換を反対したことが原因で、感染拡大が起こったと批判された。

米国での新型コロナウイルスの感染者数は2月26日時点で60人で、そのうち42人はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客だった人々だ。世界での感染者は8万1000人を突破し、2700人以上が亡くなったとされている。

CDCは現状では、米国内で一般人が感染する確率は低いとしているが、今後の感染拡大を想定し、対策を進めている。

大統領の感染拡大に対する危機感が薄いことに対し、米国の民主・共和両党の議員たちは批判の声をあげてきた。トランプは、新型コロナウイルス対策として、25億ドル(約2800億円)規模の緊急予算措置を議会に要請すると発表したが、この金額は少なすぎるとの批判も起きている。

民主党の上院院内総務のチャック・シューマーは、トランプの感染対策担当の任命が遅すぎたと批判した。

しかし、最も驚くべきは、トランプが2021年の国家予算の策定にあたり、CDCの予算を16%削減し、感染症への対策費用を削減していくと述べたことだ。彼は今回の予算教書を、既に世界で感染拡大のニュースが相次いでいた2月10日に発表した。

編集=上田裕資

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