3つの「S」でつくる、相手に共感される話し方

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あなたは、相手に伝わりやすい話し方をしているだろうか。同じ内容でも、話し方によって、相手はすんなり「納得できる」ときと、「説得された」と感じるときがあるのだ。

相手が納得できると感じさせるとき、話す側は聴く側の感情に訴えている。共感される話し方をしているのだ。

共感されるコツは、話す内容に「驚き(surprise)」と「ストーリー(story)」があり、さらに「要約(summary)」をしているか。その3つの「S」を意識すればよい。

「驚き」の正体は独自の視点


まず、はじめのS、Surpriseだ。注目したいのは、話す内容に「驚き」にあたる部分があるかないかだ。そもそも、自分が驚いたという感情こそ、他者へと伝えたいエネルギーになっているのではないだろうか。

よく「自分には、人が驚くような特別な経験はない」と考える人がいるが、驚きとは、他者が知らないものや体験していないことを公開して、相手をびっくりさせることではない。むしろ、誰もが知っていて、体験もしているのに、気づかなかった視点を指摘するほうが驚きは大きい。視点こそが、話す内容の「驚き」にあたる部分であり、気づきの共感を呼ぶところなのだ。

伝えるべきは「喜怒哀楽」


2つ目のS、Storyだ。ストーリーとは、時系列に沿って物事を語ることではない。時の経過に伴う喜怒哀楽の変化を相手に感じさせることだ。

話の展開としては「現在」から「過去」、そして「未来」への順で話せばよい。なぜなら、聞き手と私たちは、同時代に生きていて「現在」の問題を共有している。それは「過去」の歴史から、どう繋がっているのか。さらに話し手自身の個人的な「過去」と、どう繋がっているのかを示せばストーリーは重層的な面白さが出る。

その結果、私たちの「未来」はどうなりそうか、という共通課題で締めくくる。このように、話にストーリー性を盛り込めば、相手に共感されやすくなる。

聞き手に「心の準備」をさせる


3つ目のS、Summaryは、話し出しのタイミングでストーリー全体に漂う空気感を「要約」すればいい。ドラマのジャンルで言えば、ヒューマンドラマなのか、サスペンスなのか、コメディなのかを最初に紹介するのだ。そうすれば、聞き手は心の準備ができる。

例えば、「怒りを抑えられませんでした」「ほっとする話です」「びっくりしました」「笑ってしまったのですが。悩んでしまいました」など、こんな自分なりの感想から話し出せば、相手の興味を鷲掴みにできるはずだ。

話す前に、この3つの「S」を意識すれば、相手の聞きたいという感情を喚起できる。この話し方は、話の内容の熱量をも増幅させる。相手に共感される話し方は、聞いた側も他の人へと伝えたくなり、さらに広がっていくことになるだろう。

連載:表現力をよくするレシピ
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文=中井信之

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