ワシントンポストは二人の関係筋の証言を引用しつつ、トランプが株価の下落に激怒したことや、周囲のスタッフに市場の悪化につながる予測を立てないよう指示したことを伝えた。
トランプはここ最近の株式市場の好調さを、自身の手柄だと宣伝してきた。しかし、世間からはトランプ政権が感染拡大の影響を甘く見ていたとの批判もあがっている。
彼はツイッターの投稿で、「CDC(米疾病対策センター)や私のスタッフは、感染拡大防止に向けて素晴らしい仕事をしており、初期の段階から一部の国からの入国を禁止してきた。私が正しい判断を下したことは明らかだ」と述べていた。
トランプは26日朝に再び、「メディアは新型コロナウイルスの脅威を可能な限り大げさに騒ぎ立て、市場をパニックに陥れようとしている」と述べた。
合衆国国家経済会議のラリー・クドローは25日のCNBCのインタビューで、米国では感染拡大は食い止められており、経済危機につながる危険はないと述べた。彼は投資家に対し、今週の相場の下落を、買いのチャンスだと捉えるように促した。
しかし、その日の午後にCDCは正式に、米国は大きな混乱に備えるべきであると警告を発し、米国での感染拡大は避けられない状況にあると述べた。
米国のダウ平均は月曜日から火曜日にかけて大幅なマイナスとなり、投資家の危惧が高まる中でS&P 500も、先週の最高値から7%急落した。
オバマ政権の経済アドバイザーを務めたジーン・スパーリングは、ワシントンポストの取材に「暗い現実から目をそむけたいと考えるのは当然だが、何も問題が起きていないような態度でいれば、世間の信頼を失うだろう」と述べた。
「冗談めいた発言でその場のムードを変えられたとしても、いずれは、真剣さや発言の信憑性を問われることになる。トランプ政権の反応に対し、世間は疑問を懐きつつある」と彼は続けた。
新型コロナウイルスの感染者は世界で8万人を超え、中国だけでなくイタリアや韓国、スイス、クロアチア、オーストラリアでも感染が確認された。26日には欧州の株式市場にもダメージが拡大し、ストックス欧州600指数は2%の下落。ドイツのDax 30やフランスのCAC 40、ロンドンのFTSE 100も下落した。