延期か中止か無観客試合か。五輪内定にも影響?揺らぐ日本のスポーツ界の判断

2月26日に撮影された国立競技場前 (GettyImages)

7月末に開幕予定のオリンピックを控える日本で、スポーツ界では厳しい判断を迫られている。

安倍晋三首相は2月26日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で、大規模なスポーツや文化イベントなどについて今後2週間程度、中止か延期、または規模を縮小するように要請した。「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要」との見解を示し、現時点では3月中旬ごろまでが対象となる。

前日の25日に発表した新型コロナウイルス感染症対策の基本方針では、イベントなどの開催について「現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない」としていたが、一転して首相から要請を出す形になった。

また25日時点では「専門家会議からの見解も踏まえ、地域や企業に対して、イベント等を主催する際には、感染拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請する」としていた。このように主催者に開催の可否の判断を委ねていたため、困惑する声も挙がっていた。26日の要請を受けても、日本のスポーツ界の各リーグによって、延期や中止、無観客での開催など判断が分かれている。

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍首相
2月26日の新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相。(首相官邸HPより)

Jリーグは全公式戦を延期、なでしこは開催、分かれる


「これから1~2週間が急速な感染拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際になる」という政府の見解を受け、Jリーグは率先して2月28日から3月15日まで、J1からJ3まで全ての公式戦94試合の延期を決定した。3月18日の「2020明治安田生命Jリーグ」での再開に向けて準備する。

日本サッカー協会(JFA)によると、2月27日から3月15日まで、JFAが関わる全ての会議、イベントなどについて開催の必要性を再検討し、原則として「延期」または「中止」とすることを決めた。

一方、日本女子サッカーのなでしこリーグは、1部と2部ともに3月21日にリーグ戦が開幕するため、2月26日現在では開催に向けて準備する。日本女子代表のなでしこジャパンは3月5日から3月11日までアメリカで開かれる国際親善試合「2020 SheBelieves Cup」に参加予定。高倉麻子監督は「スペイン、イングランド、アメリカ(が出場予定)という非常にレベルの高い大会で、私たちはオリンピック予選がないので、実質オリンピック前最後の大会となります。非常に難しい戦いになると思いますが、優勝を目指して戦いたい」とコメントしている。

現時点で開催時期によって明暗が分かれたが、今後の感染拡大の状況を鑑みて、再び判断が必要となるだろう。
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文=督あかり

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