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自宅に専用のホームシアターを持ち、こだわりの8K映像を楽しむために妥協を許さないマニア層、およびアーリーアダプターとも呼ばれる最先端の映像機器に関心の高い層を、ソニーはZ9Hのターゲットユーザーに見据えている。

筆者も今回の取材を含めて何度かソニーに足を運び、8Kテレビ「Z9H」の画質を体験した。映像の迫力とリアリティは他の8Kテレビを圧倒する完成度だった。85インチの大きな画面に表示される映像を「見る」のではなく、あたかもその中に入り込んでしまったように「感じる」ことができる。

ソニーはテレビの大画面化を早期から押し進めながら、あらゆる映像を高精細に表示するために必要なアップコンバージョンや超解像技術を長い間ブラッシュアップしてきたメーカーだ。8KテレビのZ9Hにも、ソニーが独自に開発した高画質プロセッサーの「X1 Ultimate」と、超解像エンジン「8K X-Reality PRO」が乗っている。パネルに近づいて目を凝らしても液晶の画素がわからないほど、映像に一体感がある。自宅に置いて、お気に入りの映画やスポーツの放送をこのテレビで見てみたくなった。

小型サイズの8Kテレビに立ち向かえるのか


ソニーは今年の1月にラスベガスで開催された家電ショー「CES」に出展した際、海外では第2世代となる8K液晶テレビ“ブラビア”のZ8Hシリーズを発表した。日本を含めて発売は現段階で未定としているテレビだが、本機にはやや小型の75インチのモデルもある。

海外の家庭に比べて一般的な日本の家庭のリビングルームには85インチのZ9Hは持て余しそうにも思う。それでもなおソニーは8Kテレビのベストサイズとして提唱してきた80インチ台の大きさにこだわり、Z9Hをフラグシップモデルとしてその高い技術力を印象付ける方向を選んだ。


Z9Hで再生中の映像にクローズアップしてみた。馬のたて髪も1本ずつ立体的に表示される

とはいえ、家電量販店のテレビ売り場に足を運べば、他社からも発売されている安価でコンパクトな8Kテレビが並んでいる。より手軽に導入できる8Kテレビで、とりあえず世紀のスポーツイベントを自宅で観戦してみたいという声も少なくないだろう。大北氏は「一般のお客様も画質を見比べていただければ、Z9Hの価値が明らにわかるはず」と強気の構えを崩さない。

店頭などで8Kテレビの映像を視聴する際にはどんな点に注目すればいいのだろうか、馬場氏に聞いてみた。自然の風景映像などは光のまぶしさがリアルに再現できているかどうかに差が現れるそうだ。フルHDの16倍もの解像度を持つ8K映像は、リアルな明暗と豊かな色彩の再現力を伴ってこそ、パネルの向こうに広がる世界の「空気感」までもが蘇えるという。

スポーツの映像であれば、選手の筋肉の躍動や汗のきらめきに、映画やドラマなら人物の瞳の輝きや肌の質感など、日ごろよく目にする被写体の映像に生々しさが感じられることも大事なポイントになると馬場氏が熱っぽく語ってくれた。


液晶パネルのバックライトの明滅を高精度に制御しながら、動きの速い被写体をクリアに表示する、ソニー独自の「X-Motion Clarity」の機能を搭載する。画像はX-Motion Clarityの効果がない場合(左側)とある場合(右側)を比較したイメージ。スポーツ系のコンテンツなどに高い効果を発揮する。

文・写真=山本敦

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