本機の商品企画を担当するソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツの馬場彩香氏に狙いを聞いた。国内向けの販売戦略についてはソニーマーケティングの大北大介氏にうかがった。
ソニービジュアルプロダクツの企画マーケティング部門 商品企画部 企画3課の馬場彩香氏(写真右)、ソニーマーケティングジャパンのプロダクツビジネス本部 ホームエンタテインメントプロダクツビジネス部 ディスプレイマーケティング課 統括課長の大北大介氏(写真左)
日本にはベストなタイミングで、ベストを尽くした8Kテレビを届けたかった
一般にテレビの買い換え周期は10年前後と言われている。国内では2011年に地上アナログ放送が停波した。その前後にデジタル放送に対応するテレビを購入した家庭がいま買い換えの時期を迎えている。国内では2018年に4K/8K衛星放送が開始されたことから、各放送を受信できるチューナー内蔵のテレビがよく売れているようだ。
またパネル周囲のフレーム幅がスリムになり、従来テレビを設置していたスペースに一段大きな画面のテレビが置けるようにもなった。大北氏は「ソニーのブラビアも4K対応のテレビが大型のものほど売り上げを伸ばしている」と話す。
最近ではネットフリックスやAmazonプライム・ビデオなど、動画配信サービスが質の高い4K画質のコンテンツを揃えていることも、4Kテレビの普及を後押ししているのだろう。
さらに今年は夏に東京五輪の開催が控えていることもあり、テレビメーカー各社の動きが例年よりも活発だ。ソニーがこの時期に国内向けとしては初の8Kテレビを発表・発売すること自体に違和感はない。一方でなぜ、日本よりも先に昨年の5月から中国にアメリカ、欧州の先進国に最初の8Kテレビを投入してきたのだろうか。
馬場氏は「日本では8Kのネイティブ映像が見られる放送が他国に先駆けてスタートしたからこそ、なおさら画質の完成度を練り上げるため丁寧に時間をかけてきた」と答えている。
ソニーは4K放送が始まる以前からテレビの大画面化にとりわけ力を注いできたメーカーだ。2012年には初めて84型の4K液晶テレビ「X9000」を発売した。本機も当時としてはインパクトのある168万円(税別)という価格設定だった。
8Kの解像感だけでなく、HDR対応としたことでリアルな明暗と色合いの描き分けを実現。大画面に表示される映像の中に吸い込まれそうになる立体感が味わえる。
ソニーでは「8K画質が活きる画面サイズは80インチ台」であると繰り返しアピールしてきた。満を持して発売する8Kテレビも「価格に見合う技術を映像・サウンドの両側から妥協せずに追い込み、搭載できた」と馬場氏が胸を張る。