ビジネス

2020.02.27

ベルリン発、農地スタートアップがいよいよ日本進出。スーパーと農業を変える

創業者の1人、エレズ・ガロンスカ

パリやベルリンのスーパーマーケットを「農地化」するスタートアップが次にターゲットとするのは、日本だ。

2013年に創設されたベルリン発スタートアップ「インファーム」は、ヨーロッパのスーパーマーケットを中心に垂直型農法を取り入れたサブスクリプション型の農地栽培、販売サービスを手がけている。

インファームは2020年夏より東日本鉄道会社(JR東日本)と組み、JR東日本が所有する紀ノ國屋の店舗にて栽培・収穫された新鮮な各種農産物を提供することを発表した。アジアで初めてのパートナーシップ契約となる。

紀ノ國屋の堤口貴子社長は、今回の契約についてこう語る。「紀ノ國屋にとっての新しいチャレンジで、究極の地産地消であり、他社との差別化のカギとして期待している。合わせて今問題となっているフードロス対策に会社として取り組んでいきたい」



インファームはスーパーなどで直接農作物を育て、買うことができるサービスを作った。農地を縦型に配置し、都市の狭い空間をうまく利用している。栄養たっぷりの水や太陽の代わりとなる紫色のLEDライトを使用して、どんな天候下でも栽培できる環境を作っている。生産地から消費地までの距離が長いことによって起こる弊害をなくすためだ。

また、農地の「システムと管理」する体験を売ることにより、顧客とともに「何をどれくらい育て、いつ収穫するのか」を計画し、すべての農地をクラウド上でつなげた。味や風味、栄養価が最大限引き出されるよう、専属のスタッフたちが、24時間遠隔で管理する。(「2020年東京進出予定 ベルリン発「都市農業」スタートアップとは」より)

今回の新たな挑戦について、来日中のインファーム創業者エレズ・ガロンスカに話を聞いた。

━━日本を次のターゲットに選んだ理由はなんですか?

日本市場に参加した理由はたくさんあります。まず、農家の高齢化という問題の解決になるチャンスがあるからです。日本では農家の平均年齢が非常に高く、農業に就こうと考えている若者はほとんどいません。しかし、私たちのサービスを通して、もっと若い世代が気軽に農業に参加できるようになります。

次に、他国と比較して日本人は野菜をたくさん食べる傾向があります。生鮮食品に対する需要がたくさんあり、それが私たちにとって大きな市場と捉えています。

最後に、日本のフードロス解決につながります。日本で無駄な食べ物をなくすための費用は、年間2兆円といわれています。これはアニメ市場と同じ規模なのです!インファームにより、農家と消費者との距離をなくすことで、食べ物はより新鮮になり、無駄が減ります。現在、消費者の手に届くまでに50%以上の食糧が廃棄物となっているという現実があります。


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文=井土亜梨沙 写真=インファーム

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