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蜷川実花が描いた、いまの東京──『FOLLOWERS』で伝えたいメッセージとは?


夏木マリ、板谷由夏、浅野忠信、金子ノブアキなど人気俳優陣が脇を固めるほか、コムアイや中島美嘉、ゆうたろうなど異彩を放つキャストも画面を彩る。もとより、カメオ出演の多さも特筆すべきところだ。過去にも蜷川作品に出演した水原希子や玉城ティナ、大森南朋をはじめ、山田優や渡辺直美、MIYAVI、川谷絵音など、「こんな人まで!」と思わずニヤリとしてしまう各界著名人が実名で出演する。

蜷川自身の交友関係から「LINEでオファーした人がほとんど」とのことだが、虚実綯い交ぜになった世界の中で、ドラマが現実と地続きになっているような感覚を覚える。

そこに映し出されるのは、蜷川のフィルターを通した「いまの東京」だ。「私は生まれも育ちも東京なので、写真でも映像でもいいから、いつかきちんと東京を描いたものを表現しなきゃ、とずっと思っていました。やっとなんとなく、いまならできるかな、と思えたタイミングだったんです」

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写真=ネットフリックス提供

「ネットフリックスと話したとき、『世界基準にはあえてしなくていい。東京で作るなら、東京のカルチャーが観たいし、東京の人が観たい』と言われて、振り切れました。それに、もっと軽やかなものを作りたいなと思ったんです。これまでの映画は誰かが死んだり、重い結末だったり……っていう作品が多かったので(笑)。で、やるからには2020年に当てたいな、と」

なつめを通して描かれる若者たちは、ストロング缶を飲みながら公園で語り合い、バキバキに割れたiPhoneの画面からSNSを覗き込む。オフホワイトやマークジェイコブスなど憧れのブランドとオンリーワンの古着をミックスさせる、まさにリアルな東京の風景。一方で、チームラボボーダレス、ロボットレストラン、カワイイモンスターカフェといった海外から見た「TOKYO」のイメージも、蜷川の映す極彩色の世界で増幅する。

そして、リミたちの活躍するショービズ、ファッションの世界は、ため息が出るほど豪華絢爛だ。ディオール、ジバンシィ、グッチにフェンディ。「ファッションは鎧」と語るリミは、クリスチャン・ルブタンのパンプスを履いてシャッターを切る。

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写真=ネットフリックス提供

スタイリングを手がけたのは、ファッションエディターの軍地彩弓。軍地自らファッション誌で活躍するスタイリスト7人に声をかけチームを編成。登場人物のキャラクター像に衣装を重ね合わせた。さらに池田エライザやゆうたろうら若手キャストも積極的にアイデアを出し、リアリティを高めた。

「若者たちのパートは、自分の若かった頃のことをいろいろと思い出してもいたけど、エライザやコムアイたちから刺激を受けた部分も大きかったですね。彼女たちが話していたことをそのままセリフに入れたりもしたし、『あぁ、いまの子ってこう考えてるんだ』って、学ぶこともたくさんありました」
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文=大矢幸世 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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