長生きをリスクにしない。定年後のセカンドライフ設計は生命保険から考えろ

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65歳以上でも働く人は10年前の1.6倍に


では、実際、どれくらいの高齢者が働いているのだろうか。調べてみると、65歳以上の高齢就労者数は、2018年は862万人(男性512万人、女性350万人)で、年々増加傾向にある。

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総務省統計局「統計トピックスNo.121 統計からみた我が国の高齢者
注1)数値は、単位未満を四捨五入しているため、合計の数値と内訳の計が一致しない場合がある。
注2)2011年は、東日本大震災に伴う保管推計値

ファイナンシャルプランの相談の現場でも、長く働くという選択をする人が増えてきている。そして、「70代まで返済が続く住宅ローンを借りている」「子どもの留学や大学院への進学など、晩婚の影響で教育費が60代までかかる」「ねんきん定期便で確認した退職後の年金収入が思っていたより少なくて、このままでは心もとなく感じる」というのが、長く働く理由のベスト3だ。

実は、そうしたプランニングをする際に気になるのが、生命保険の見直しについてだ。若い夫婦や働き盛りの世代で、生命保険に入っていなかったり、入っていても保障額が少なかったりということで、「保障不足」が叫ばれて久しいが、最近は、シニアの保障不足が目立っているのだ。

どういうことかというと、これまでの保険の常識は、60歳定年をイメージして語られてきたものだ。生命保険は基本的に就労収入をカバーするものだから、高額な保障は退職までの60歳や65歳まででプランニングしているものが多い。定年を迎えるころには子どもは独立しているだろうし、余分な遺族保障(生命保険)は減額して、老後保障(貯蓄や個人年金など)にシフトしよう、という考えが当たり前だった。

けれども、いまは、60歳でも退職していないし、子どもがまだ独立していない人もいる。65歳を過ぎても働き続ける人もいるし、リフォームローンなどを抱えている人もいる。

生命保険として入るべき額は、自分に何かあったときに不足するお金を積み上げて計算する。例えば、生命保険に入る際に、教育費については国公立大学に進学するという想定で算出していたものの、実際には私立大学でしかも医学部で6年間というようなケースでは、本来であれば大学入学時に見直して、差額の学費分の生命保険を上乗せする、という考え方で再算出する。

そのため、これまでの「保険の常識」にのっとってうっかり減額したり、若いころに入った生命保険でそのまま気にせずに見直さずにいたりすると、いざというときに「保障が足りない!」というケースを見かけることが増えてきているのだ。
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文=竹下さくら

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