第一昭福丸は復興と未来の漁業のシンボル
世界の漁業の総漁獲量の約3割もがIUU(違法、無報告及び無規制漁業)によるものと言われ、その漁獲の多くは日本市場に流れ込んでいるとも言われている。日本ではEUや米国がすでに法制化している輸入規制、漁獲証明、トレーサビリティ証明の法制化がなされておらず、規制が緩いためだ。さらに太平洋上のクロマグロ漁では、まき網による卵を産む前の未成魚の大量漁獲が約9割を占めており、資源量を減らす要因となっている。
第一昭福丸の北東大西洋クロマグロはえ縄漁業のMSC認証取得が実現すれば、IUUなど非持続可能な漁業によるマグロと、持続可能な漁業によるマグロの差別化の先進事例になる。そしてIUU漁業の廃絶や乱獲防止に向けた流れをつくることができるのだ。
クロマグロの荷揚げ
第一昭福丸は、震災の地獄絵図から不死鳥のごとく浮かび上がった復興のシンボルであり、気仙沼の人々の希望を乗せた船である。さらに持続可能な漁業のシンボルとして未来を描いていこうと、臼福本店は、国際漁業認証取得に心血と3000万円近い自己資金を注ぎ込んだのである。まさに、持続可能な社会を目指して自力で日本の、また世界のあるべき漁業の姿に舵を切っているのだ。
正直者が得をする時代を築かなければ、海洋の未来はない。日本は世界をリードし、国際社会で模範を示そうとしているこのような漁業者の思いと志を、声をあげて支持していくべきだと考える。
連載 : 海洋環境改善で目指す「持続可能な社会」
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