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Photo by Tada Images / Shutterstock.com

実店舗を持たない宅配専門の飲食店「ゴーストキッチン」が全米各地に続々と生まれている。客側は店に出向く手間が省け、店側は初期費用などを抑えられるメリットがある。投資家の注目度も高く、サービスを手がけるスタートアップは巨額の資金を調達。テックを駆使した新たなフード産業が勃興しつつある。

米ニューヨークとアラブ首長国連邦(UAE)ドバイに拠点を置くキトーピ(Kitopi)。創業は2018年だが、米国とUAEのほか英国、サウジアラビア、クウェートでゴーストキッチンを計30店舗運営し、従業員はすでに世界全体で1200人を超える急成長ぶりだ。2月2日には事業拡大のためベンチャーキャピタル(VC)数社から6000万ドル(約66億円)を調達し、年内に米国でさらに50店舗、世界全体で100店舗増やす計画だ。

社名は「Kitchen Operation Innovation(厨房運営のイノベーション)」に由来するキトーピは、注文の受付から配達までの効率性を高めるための「スマートキッチンのオペレーティングシステム」を開発。自社でキッチンを運営するほか、このシステムを他社の実店舗などにも提供している。

パートナーを組む実店舗はドバイの中東料理店「オペレーション・ファラフェル」やピザチェーンの「ピッツァ・エクスプレス」の一部店舗など、すでに100店舗以上。飲食店業界でテクノロジーが果たす役割が大きくなるなか、これは成長のための企業提携の好例と言えるだろう。

キトーピの最高経営責任者(CEO)、モハマド・バルートは、「飲食店と組んでフード業界に革命を起こす方法」について投資家とビジョンを共有していると話す。実際、2月に出資したVCの一社であるルミア・キャピタルのパートナー、クリス・ロジャーズは、キトーピは「フードテックを再発明」しており、スケーラブルなところが気に入っていると述べている。

ゴーストキッチンは広く見れば、「ウーバーイーツ(Uber Eats)」や「ドアダッシュ(DoorDash)」「グラブハブ(GrubHub)」といった料理宅配アプリが入り口となる、ネットを活用した産業の一部ということになる。

米国ではキトーピ以外にも、キッチン・ユナイテッド(Kitchen United)、クラウドキッチンズ(CloudKitchens)、ズール・キッチンズ(Zuul Kitchens)、ローカル・カリナリー(Local Culinary)、ファミリー・スタイル(Family Style)など、新しい企業がこのニッチ(隙間)分野へ次々に進出してきている。

業界誌「レストラン・ホスピタリティー」によると、フード宅配の現在の市場規模は350億ドル(約3兆8000億円)ほどだが、向こう10年で10倍に拡大すると見込まれている。調査会社のスタティスタは2016年の調査結果として、週に1回以上、料理の宅配サービスを利用する消費者は全体の2割に上ると報告している。

編集=江戸伸禎

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