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2020.02.26 14:30

エアビーが宿泊客の「監視デバイス」導入、人権団体は反発

Photo by Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images

民泊大手の「エアビーアンドビー」は昨年10月、カリフォルニア州の住宅で催されたハロウィンパーティーで5人が殺害された事件を受け、安全性強化に向けた取り組みを進めてきた。カリフォルニア州オリンダの住宅で開催されたハロウィンパーティーでは、100人以上が大騒ぎした結果、銃撃事件が発生していた。

さらに、レンタル物件が違法なアダルト動画の撮影に使用されるケースも頻発していた。この事態に対応するため、エアビーアンドビーは宿泊客を監視するデバイスの告知を開始した。

現状では3つの「パーティー防止」を目的としたデバイスがホスト向けに販売されており、本体価格は100ドルから150ドル程度、月額のサブスクリプション費用が10ドル程度となっている。

これらのデバイスは、一般的な宿泊とは異なるレベルの騒音を検知した場合にアラートを発信し、ホスト側に注意勧告を行う。エアビーアンドビーはこれらの機器が、「近隣住民とのトラブルを防止し、ゲストの安全性を守るために有効だ」と述べている。

Minutと呼ばれるデバイスの製造元によると、このデバイスは顧客の個人情報は一切収集せず、プライバシーを守りつつも、異常な騒音を検知するという。サンフランシスコの銃撃事件の原因となったのは、「パーティーハウス」と呼ばれる、出入り自由のイベントだったが、ゲストがこのような形で物件を利用した場合、Minutの機器は即座にアラートを発するという。

人権団体はエアビーアンドビーの姿勢に反発しているが、同社は昨年12月に「パーティーハウス禁止」のポリシーを策定し、出入り自由のイベントの開催を禁止していた。エアビーアンドビーはSNSを通じた監視も行ってきた。

同社が推薦する監視デバイスの特徴は、物件のオーナーに、音声や動画のレコーディングやストリーミングを許可していない点にある。ただし、この手の監視デバイスは、運用の仕方次第で、顧客のプライバシー侵害につながる可能性がある。

エアビーアンドビー側は、監視デバイスの運用にあたり、透明性を重視していると述べている。物件のオーナーは、宿泊客に監視を行っていることを事前に告知することが義務づけられている。さらに、顧客から見えない形で監視デバイスを設置することは許されない。ベッドルームや浴室の監視は許されていない。このような厳格なルールを定め、エアビーアンドビーはオペレーションの透明性を維持しようとしている。

しかし、このやり方でエアビーアンドビーが顧客の安全や信頼を高めていけるかどうかは、今後の運用次第になりそうだ。

編集=上田裕資

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