公職者向け学生ローン返済免除制度、トランプ大統領が廃止を提案

Photo by Sean Rayford/Getty Images


「学生ローン債務免除」を訴える民主党の大統領候補者たち


PSLFプログラムを廃止せよというトランプの提案は、一部の民主党大統領選候補者たちの主張と根本的に相容れないものだ。たとえば、上院議員のバーニー・サンダース(バーモント州選出)とエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出)は、学生ローンの債務免除計画を発表している。サンダースは、連邦政府と民間の両方を含む学生ローン1兆6000億ドルをすべて免除したいとの考えだ。この免除プランには資格要件が一切なく、学生ローンを抱える4500万人全員が返済から解放される。

一方のウォーレンは、学生ローンの借金があるアメリカ人の95%以上について、債務を減免したい考えだ。75%以上の人は全額が免除される。ウォーレンの計画では、世帯所得が10万ドル未満の学生ローン債務者については、各自5万ドルを免除。世帯所得が10万ドルから25万ドルの人もそれぞれ、相応額が免除される。

トランプの提案内容


トランプは、学生ローン返済免除をすべて廃止しようと提案しているわけではない。正確には、公職者ローン返済免除プログラムを廃止するよう提案している。学生ローン返済プランの数を減らせば、学生ローンの返済方法が簡素化され、より早く返済できるようになるというのがトランプの考えだ。

重要なのは、連邦政府の学生ローン返済プランは、月々の返済額を安くできるが(ただし利息はローン残高に応じてつく)、学生ローンの利息を抑えることは期待できない。トランプが提案しているのは、所得に応じた返済プランで、大学進学のために連邦政府から学生ローンを借りた人は、15年間返済したら免除される。

現在は、既存の所得連動型プランの場合だと、連邦政府学生ローンの返済が免除されるのは、大学は返済開始から20年、大学院は25年経ってからだ。トランプが新しく提案したプランでは、現在の所得連動型返済プランのように、債務者には、免除されたローン額に応じた所得税の支払い義務が生じる見通しだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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