現在のゲームの弱点を大きく補う
さて、「超低遅延」「広帯域」「多端末接続」を可能にする5Gネットワークが、いよいよ私たちのもとにやってきます。5Gは、これまで多くのエンターテインメントが基盤としてきたネットワーク環境を大きく進化させ、ゲームをはじめ、さまざまなエンターテインメントコンテンツに不連続な進化を促すと見ています。
最近では、サーバ側でゲームコンテンツをレンダリング(描画)して、描画した結果をインターネット越しにストリーミングデータとして配信し、クライアント機器(スマホ、PC、ゲーム機)側で再生できる、「クラウドゲーミング」が可能になりました。
これによって、ゲームコンテンツをパッケージで供給したり、ダウンロードで配信したりすることなく、即時にゲームプレイが可能となっています。このクラウドゲーミングは、サーバとクライアント機器の間のデータ転送遅延がゲームプレイの快適さに関係するため、5Gの「超低遅延」性能はこういったクラウドゲーミングの快適性向上に資するネットワークインフラだと考えられます。
5Gの「広帯域」を活かすと、複数の映像ストリームやデータストリームを、同時並行で送受信できるようになります。つまり、視聴ストリームをユーザが自在に切り替えることで、ユーザがコンテンツの視聴スタイルを選ぶことができるマルチアングルコンテンツの配信が、これまで以上に容易になると考えられます。これによって、スポーツトレーニングや映像系教育教材などの新たなプラットフォームやアプリケーションの出現も予想できます。
また、5Gが可能にする「多端末接続」は、現在のゲームの弱点を大きく補ってくれる可能性があります。4G世代と比較すると、多くの端末を接続できることから、「超低遅延」と相まって、スタジアムのような1カ所に多くのゲームプレイヤーを集合させた状態で、レーシングゲームやスポーツゲームのようなレイテンシークリティカルな(遅延があると成立しない)ゲームコンテンツを新たに楽しむことができるようになります。すでにeスポーツとして、こういったコンテンツの世界大会なども開かれていることから、5Gの活用により、さらに大きな発展が見込める領域だと思います。
さらには、「多端末接続」を多くのユーザ接続に使うのではなく、1ユーザの動作や挙動のキャプチャーに使うことで、これまでのゲーム機やスマートフォンでのゲームプレイのような限定的なコントローラ入力とは比較にならない、動作を多数の入力センサーIoTを通して、瞬時にゲーム空間に入力することが可能となってきます。
あたかもユーザが「デジタルツイン」としてゲーム空間に入り込んで、ゲーム世界で遊ぶようなバーチャルリアリティを実現できることになっていくでしょう。
茶谷公之
1. 「ネットワーク」という概念は過去のものに。5Gが生み出す新たな可能性 #読む5G
2. デジタル空間に入り込んで遊ぶ 。5Gがもたらす画期的なゲームの進化 #読む5G
特集:読む5G
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