また、ゲームコンテンツの進化にとどまらず、ビジネスモデルやコンテンツ提供モデルについてもさらなる挑戦が行われました。例えば、無料でゲームを始めることができ、アイテムや追加ステージを購入する課金方式など、新たなモデルが提案されています。
さらに、スマートフォンと4Gを組み合わせることによって、スマートフォンに搭載されているGPS機能を活用し、現実世界の地理的空間内で楽しむゲームも世界的な人気を博すなど、ゲーム内の仮想世界と現実世界を繋げてしまうようなものも生まれています。
映像表現においても、世代ごとに性能を飛躍的に向上していくCPUやGPUの計算性能やグラフィックス表現を背景に、80年代や90年代には想像することも難しかった驚くべきものへと進化をとげています。かつてはあっと驚いた映像表現も、いまのゲームコンテンツの表現力の前では雲泥万里、まったく違う次元になっています。
また、以前は「夢」のように思われていた技術、例えばレイトレーシング(自然な光を表現する手法)がリアルタイムで実行可能な領域になるなど、進化は続いています。
このような映像表現の進化は、エンターテインメントへの応用だけに限定されず、放送局においては、「デジタルアナウンサー」としてアナウンサーの「デジタルツイン」(リアルな空間の情報や環境をデジタルの空間に再現する)としての活用が提案され始めています。
深層学習技術の進化に伴い、音声合成性能も飛躍的に向上したことから、人間による発話なのか、コンピュータによる合成音声なのかを判別するのが難しいレベルまで到達しています。こうした技術の進化は悪用されることもあり、合成音声を使用した詐欺行為も報告されているようです。
私たちが観ている映画においても、多くの背景や建物がコンピュータグラフィックスによって人工的につくられており、バーチャルな風景と現実の俳優の演技を重ね合わせたものも多くなっています。結果、実写と合成の判別が難しくなっており、今日ではほぼ判別は不可能という状況です。
たとえ合成映像が多く活用されている映画を観ても、それが映画の内容を毀損しているとは思われず、ごく自然に鑑賞することができる時代になっています。コンピュータグラフィックスが、まだあまり使われていない頃は、不完全な表現から違和感を取り除くために、あえてコンピュータグラフィックスっぽく見せる必要があったのが不思議なくらいです。