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0歳からの「お金の話」

Seamind Panadda / EyeEm

先日、社会人1年目の若者たちと「資産形成」について語り合う機会があった。昨年の4月から社会人として働き始め、そろそろ11カ月目を終えようとしている彼らは、学生気分も抜け、日々の生活にも少しは余裕が出てきたようで、社会問題にも興味を持つようになっていた。

資産形成をしなくてはいけないという論調の記事はよく目にするけど、自分たちはまだ何もしていない側の人間だということで、「資産形成」や「お金」について、金融教育ベンチャーを経営する筆者とたっぷり議論をした。

お金は人生を豊かにしてくれる


まず、彼らにお金を多く持つことや稼ぐことは卑しいこと、または悪いことなのかということを聞いた。彼らはそこまで直接的にネガティブな表現はしなかったが、やはり多少はそのことに後ろめたさを感じているようだった。

では、なぜ、そのような感情を抱いてしまうのか。お金を多く持っていたり、稼いでいたりする人の印象を彼らに聞いてみると、いわゆる成金のようなド派手な生活をしているイメージを抱いているようだ。そのような印象はドラマやアニメの影響があるのかもしれない。日本におけるお金持ちは、得てして「悪者」として描写されることが多い。

しかし、お金を持つことで人生は豊かになる。しかも、それは一般的にイメージされるような劇的な生活の変化ではない。

例えば、友だちと飲んでいたときに、話は盛り上がっているが、終電までには帰りたいので、話を途中で切り上げて別れる場面は誰にもあるだろう。しかし、お金に余裕があるなら終電など気にせず、タクシーで帰ればよい。レストランやスーパーに行ったときも、お金があれば値段を気にせずに買い物ができる。

そんな小さい話なのかと思うかもしれないが、いまの日本の平均的な給与水準を考えれば、多くの人がこのような些細なことを気にして生活しているということは容易に想像できる。お金に余裕があるということは、けっして派手な生活ができるということではなく、このように日常生活を少し豊かにしてくれるということなのだ。

汚いのはお金ではなくて人間


それでは、いまの若者たちに、お金に対する悪いイメージを植え付けたのは誰なのか。1つに親の世代からの影響というものがある。そして、その親も、そのまた自分の親の実態を見て、そのようになってしまったという悲しい現実がある。

どういうことかというと、筆者がお世話になっている知人(60代)の父親が亡くなった際、父親の証券口座や銀行口座の情報を集るのに苦労したという話を聞いた。普段から父親とはお金の話をしていなかったそうだが、父親にはこれくらいは預金があると想像していたのに、実際にすべての口座情報を集めてみると、預金はほとんどなく、残っていたのは大量の投資信託だったというのだ。

その経験から、金融機関にとてつもない怒りと不信感を覚え、知人は金融機関と取引をしなくなったという。そして、自分の子どもにも「投資は危険だ」とか、「金融機関にだまされるな」と教育したのだという。

文=森永康平

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