米警察組織にも訪れるデジタル変革の波

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警察組織でのデジタル変革はどのように進むのだろうか? 警官の大半は、デジタルトレーニングが不足している。ニューヨーク・タイムズ紙の記事では、警官によるペンと紙への固執により、ある事件の捜査で複数の警官のメモ内容を同時に検証する必要がある場合や、事件から何年もたった後にメモの提出が求められ、担当警官が引退・異動・死去していた場合に生じる問題について指摘している。

当然ながらデジタル移行の利点は計り知れないし、技術の発達によって電子機器でのメモ取りは紙と同じくらい簡単になっている。練習を積むことで紙よりも速く入力することも可能だ。子どもや孫、甥や姪の世代が良い例だ。若者は特に優れた頭脳を持っているわけではなく、古臭いスキルを忘れる必要がないだけだ。

ニューヨーク・タイムズ紙の記事は、メモ帳の習慣がいかに警察組織内で根付いているかを示す非常に興味深い内容となっている。

警官たちは、後からメモを付け加えるためにあえて空白のページを残したり、年月が経ってから必要となる場合に備えてメモ帳を大切に保管したりしているという。だが、こうした手法や仕事道具がほぼカルト的な習慣となっている組織でも通常、デジタル移行による作業の改善は可能だ。データ収集が組織の中でも非常に重要な機能の一つとなっている現代ではなおさらだ。

ニューヨーク市警の事例は、デジタル変革とそれに対する抵抗、そしてうまく導入した場合にもたらされる恩恵を示す興味深い例だ。デジタル変革を成功させるには、当事者全員を巻き込み、変化を促すような具体的なメリットを提示しなければいけない。端的に言えば、ニューヨーク市警の事例は、筆者が授業でデジタル変革について教える際に使用している基準や要素が、理解や可視化がしやすい形で凝縮されているのだ。

編集=遠藤宗生

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