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失業が健康に影響をもたらすことは、これまで多くの証拠により示されてきた。ただ、医学誌の国際疫学ジャーナルに2018年に発表された研究論文では、ただの仕事ではなく「良い仕事」を持つことが心の健康にとって重要とされている。

男女の役割分担に関する伝統的な考え方では、男性が家族の大黒柱だとされているため、失業が特に男性にとって重圧となるのも納得がいくことだろう。これは、労働市場に関する情報サイト「IZAワールド・オブ・レーバー(World of Labor)」が最近発表した報告書で取り上げられた問題だ。

同報告書では、働かない労働年齢男性の数が世界で増えており、それに伴ってストレスやうつ病・怒りなどのメンタルヘルス上の問題が増えていることが明らかにされている。米国では実際に、男性の失業は自殺や薬物乱用など、死亡率上昇の要因となっているさまざまな体の健康問題との関連性が指摘されている。

報告書を執筆した研究チームは、男性の失業問題は未熟練労働で最も深刻だと考えている。未熟練労働では、職がある人でさえも賃金と社会的地位が低下に見舞われており、多くの男性が最終的には労働人口から完全に脱落してしまう状況となっている。

失業中の男性が直面する問題の多くは希望の喪失をめぐるもので、これは世界共通の問題だ。失業男性の多くはオピオイド乱用に走り、メンタルヘルスをさらに悪化させてしまう。さらに、結婚の破綻や市民・宗教活動への参加の減少につながることも多い。

ここで重要な要素となるのは、その人の社会的地位だ。労働者階級の男性の多くは、イメージや自己評価が勤勉さを良しとする倫理観に基づいているため、失業によって大きなスティグマ(不名誉)を抱えてしまう。

労働への参加


米国ではこの問題が特に大きな懸念材料となっている。米国での労働年齢男性の労働参加率は、経済協力開発機構(OECD)内で最低レベルであり、さらにこの傾向は1999年以降悪化している。研究チームは、団体交渉力が低いこと、質が低く不安定な職が増加していることにより賃金水準の上昇が阻害され、さらには自動化により雇用が失われる可能性もかつてなく高まっていると指摘している。

とはいえ、全ての男性が同じように影響を受けるわけではない。貧しい白人男性は、貧しいアフリカ系やヒスパニック系の男性と比べ、将来に対する希望が顕著に小さいとことが分かっている。

研究チームは、低スキル男性の雇用可能性を改善したり、市民参加を促したりして問題解決のための明確な政策を講じない限り、状況は悪化するだけだと論じている。

編集=遠藤宗生

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