大手メーカーの自動運転への出資額は累計1.8兆円、米調査

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テック系ニュースサイト「ザ・インフォメーション」が、自動運転車開発プロジェクトへの投資額が160億ドル(約1.8兆円)に達したという調査結果を発表した。

最も投資額が大きかったのはウェイモとGM傘下のクルーズで、いずれも30億ドル以上だった(ただし、この金額にはM&Aに投じられた資金は含まれていない。例えば、インテルはモービルアイを160億ドルで買収したが、この金額は対象外だ)。

ここ最近、大手自動車メーカーによる自動運転車の開発競争はクールダウン気味だが、開発熱が衰えていない企業の1つがGMだ。同社傘下の「クルーズ」のダン・アマンCEOは、投資家向け説明会で自動運転車の市場規模が将来的に年間8兆ドルに達すると述べた。

その内訳は、個人の自動車移動が5兆ドル、貨物輸送が2兆ドル、車内エクスペリエンスとデータがそれぞれ5000億ドルだという。

8兆ドルという金額は、筆者が試算したグローバルの陸上輸送市場の規模とほぼ一致する。もちろん、陸上輸送の大半が自動運転に切り替わるのには数十年を要するが、巨大な市場規模と潜在的なリターンを考えると、160億ドルという投資額もわずかなものに見える。

一方で、将来の不確実性は大きく、誰にも成功は保証されていない。ここでは、自動運転分野が抱える課題を列挙してみたい。

先行者が勝者になるとは限らない


各社が自動運転車開発プロジェクトに多額の資金を投じているのは、勝者になれば8兆ドルの巨大市場で最大シェアを獲得できるからだ。しかし、歴史を見れば明らかなように、ハイテク業界で先行者利益を得るのは容易ではない。マイクロソフトやアップルは例外で、フェイスブック、グーグル、アマゾンなどは先行者ではなかった。

ロボットタクシーに各社が熱狂する大きな理由は、車両本体を販売するよりも大きな利益を得ることが可能だからだ。サービスを提供する企業は、車両だけでなく、サービスや燃料、保険やロジスティクスなどの、全ての支配権を握ることになる。現在の配車業界においては、ウーバーやリフトがバリューチェーンの利益を全てコントロールしている。
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編集=上田裕資

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