大手メーカーの自動運転への出資額は累計1.8兆円、米調査

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ロボットタクシーの普及の初期段階においては、ライバル間の競争はあまり激しくない。なぜならば、各企業は競合が未進出の都市を選び、1つずつ市場を拡大していくからだ。どの企業も優れた自動運転技術を提供するようになると、技術力だけで大きなシェアを獲得することは困難になってくる。

料金は低下し乗車回数は増加する


個人輸送の自動化は、乗車料金の低下をもたらす。個人輸送では、都市部における1人乗車が全体の80%を占めるが、小型の低コスト車両による自動運転が普及すると料金が大きく下がることが予想される。ピーク時には、複数の乗客による相乗りにより、コストがさらに下がる。

車の購入には多額の初期投資が必要になるため、より多くの人が保有よりも安価なロボットタクシーを選択するだろう。

初期投資が不要で、安く車で移動することができるようになれば、これまでよりはるかに多くの人が車を使用するようになる。輸送料金が安くなっても、利用者が増えることで市場規模は8兆円を大きく超える可能性もある。

筆者の推計では、米国人は毎年500億時間を車の運転に費やしている。これに米国の平均賃金(1時間当たり35ドル)を掛けると、1.7兆ドルもの生産時間が失われていることになる。

ロボットカーの普及によって交通事故が完全になくなるわけではない。しかし、時間の経過と共に安全性は増していくだろう。2014年に米国家道路交通安全局は、交通事故による損失額が毎年8710億ドルに達すると試算した。ロボットカーの普及で交通事故が半減すれば、莫大な利益をもたらすことになる。

いずれにせよ、潜在的な市場の大きさに比べれば、160億ドルなどわずかな金額であることは確かだ。

編集=上田裕資

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