小6の宇多田ヒカルも突破できなかった、お〜いお茶新俳句大賞の超難関

新俳句が書かれたペットボトル


7. 年齢も 性別も関係ない あなただよ



今でもハガキでたくさん応募がくる(写真=小田駿一)

1回目の開催から、最終審査会での参加者の年齢、地域、性別、名前はふせるようにしている。純粋に作品そのものを評価するためだ。実際に大賞候補の作者に会いに行く際に、イメージとは違う作者が出てくることはよくあるという。

例えば、第28回で文部科学大臣賞を受賞した宮下青生(14)の作品は、男の子の作品だと思っていた人が多かった。

水筒を 垂直にして 飲んだ夏

勢いよく水筒のいをガバガバと飲む様子が、男の子を想起させた。実際にこの作品を書いたのは女の子だった。このように性別や年齢関係なく審査が行われるため、書いている人たちは自由に俳句を発表しやすい。30年たった今、年齢や性別にとらわれない審査方法が一周回って時流にのっているのではと感じた。

また、新俳句はスポーツや学校の勉強が苦手な学生も入賞するケースが多々ある。新俳句は、学校で作られた評価軸以外で生徒にさらに活躍の幅を広げている。

今年審査員に加わった俳人の夏井いつきもその可能性を信じる1人だ。もともと教師だった夏井は、その後俳句の世界に入り、小学校や区民会館などで「句会ライブ」を開催。優秀な俳句を作った子供たちを表彰していた。句会ライブでは授業やスポーツで評価されない子の方が選ばれることが多かった。頭のいい子の俳句は、大人がこういう作品の方が喜ぶだろうと狙っているケースが多く、素直な気持ちが伝わらない。

学校でもなかなか評価されない子供たちに表現する機会を与えたい。その思いが一致して、新俳句の審査員に夏井は選ばれた。どことなく生きづらさを感じる子どもたちに新たな居場所や自己表現の場を与えている。


2020年、31回目の応募締め切りは2月29日(土)だ。通学、通勤時のふとした瞬間に言葉を紡いでみるのはどうだろうか。次のペットボトルに刻まれるのは、あなたの作品かもしれない。

文=井土亜梨沙、写真=小田駿一

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