固定概念を覆すようなウイスキー グレンモーレンジィ

グレンモーレンジィ 18年

ウイスキーには、どこか男性的なイメージがつきまとう。オーセンティックなバーで、ウイスキーのグラスを前にしているのは誰?と聞かれたら、多くの人が男性を、それもやや年輩の紳士を思い浮かべるのではなかろうか。

グレンモーレンジィはそのウイスキー=オトコの嗜好品という固定概念を覆すようなウイスキー。といって、亜流なわけではない。あくまで正統派、本流のシングルモルトだ。

1843年に誕生したグレンモーレンジィはスコットランド、ハイランド地方を代表するウイスキーブランド。12基のポットスチル(大型蒸留器)はスコットランドでもっとも背が高く、その高さ5メートル余。

大人のキリンほどの背の高さである銅製のロングネックは、蒸留で湧き上がる蒸気の接触面が広くなるため、余分な雑味が削ぎ落とされ、よりピュアなスピリッツだけを熟成に用いることができる。その結果、グレンモーレンジィのウイスキーはフルーティでフローラル、エレガントで華やかな味わいに仕上るというわけだ。

またグレンモーレンジィは熟成にもこだわっている。ウイスキーは樽の中で長時間過ごすことにより、琥珀色の色合いと円熟した風味を増していくものだが、グレンモーレンジィは原木にもこだわるデザイナー・カスクを採用。シェリーやポート、マディラなどのワイン樽に詰め替えて、後熟を施すカスクフィニッシュという技法を取り入れた初の蒸留所だ。

この「グレンモーレンジィ 18年」はまずバーボン樽で15年熟成させたのち、その約30%をシェリー樽で3年熟成。18年という長い熟成期間を経て、グレンモーレンジィ特有のさわやかな柑橘の香りはエキゾティックな果実香へ、スムーズな飲み口はよりなめらかに絹のようなテクスチャーへと変化する。

これほどまでに華やかなレアモルトを男性に独占させておいてはもったいない、と思ったのかどうか定かではないが、アルマーニ/リストランテのバーでも、「グレンモーレンジィ 18年」をオーダーするのは女性も多いのだとか。美しい銀座の夜景を眺めながら、このシングルモルトの香りと味わいを大ぶりなグラスでゆっくりと楽しむ。優美で、心華やぐ時間の過ごし方は、艶のある男女にふさわしい。

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GLENMORANGIE 18 YEARS OLD(グレンモーレンジィ 18年)
ハイランド地方のミネラル分豊かなターロギーの泉の湧水(硬水)とスコットランド産の大麦麦芽のみを用いる。じっくりと時間をかけて熟成され、深みを増したレアモルト。パパイヤなどのエキゾティックな果実や花の芳醇な香りと、濃厚な味わいが特長。

容量:700ml
度数:43度
価格:12000円(税別・参考小売価格)
問い合わせ:MHD モエ ヘネシー ディアジオ(03-5217-9731)

photographs by Jiro Ohtani|text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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