すべての、女性は、誰もが、みな、疲れている、そう、思う

photo by KEI OKANO


「誇らしげに自分自身を打ち出す」女性 


作品が表現する「誇らしげに自分自身を打ち出している」女性像。現代社会におけるこの生き様を代表する女性として、昨年多様性を重視するランジェリーブランドを立ち上げた国際的ポップアイコンのリアーナが思い浮かぶ。女性はこうであるべきという外見、女性像を指示する従来の下着ブランドとは対照的に、ありのままの自分を誇りに思うというブランド哲学に世界中の女性は魅了された。

同じくポップカルチャーで挙げられるのは、ラッパーのリゾ(LIZZO)のような人物だとワヒは語る。

「社会の基準で完璧とはほど遠い自分を率直に表現するリゾが最近ブレークしたのは、『あなたが誰であろうと、それでいい』という時代に行き着いたことを示しています。女性は今まで社会に期待される人になるべきというプレッシャーが常にありましたが、現在の個人主義的なアメリカでは逆に期待を裏切りマスカルチャーを自ら変えることが成功に繋がるという傾向が見られます」

女性アーティスト達への脚光




1929年、名門のナショナル・アカデミー・オブ・デザインに初めて女性が入学できた。アメリカの抽象表現主義の画家であり、ジャクソン・ポロックの妻だったリー・クラスナーだ。彼女は教師に「君の作品はまるで男が描いたようだ」と褒め言葉として言われた。当時は男性的なアートが評価されていたことを物語るエピソードだ。

およそ一世紀が経つ今、女性のアートは、何世紀にもわたって芸術史的に見逃されてきた視点を提供し、非常に斬新であると注目を浴びているとワヒは言う。彼女は女性の視点を興味深く描く作家の例として、白人や男性の作品には滅多に登場することのないテーマを自分の体で表現するアフリカ系アメリカ人のレニー・コックス(Renée Cox)を挙げる。

「黒人女性がコルセットを着たセンシュアルな後ろ姿の写真作品は、ある来訪者に黒人女性の体を不当に作品化していると批判されました。本作品はアーティスト本人の自画像であり、『老化と美』についての解説であると彼に説明したところ、彼はその意図を理解し作品を絶賛したのです」
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文=Elisa Ito 写真=KEI OKANO(Installation shots)

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