新型コロナ対策で注目の「人と接触しないで済むテクノロジー」 中国で続々

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中国では新型コロナウイルスとの戦いが続いているが、多くのテクノロジー企業もここに参戦している。2月17日には、中国最大級のAIスタートアップ、センスタイム(商湯科技)が、自宅学習用のAI教育プログラムを無料で提供すると発表した。

現在、中国政府は新型コロナウイルスの拡散を防ぐため学校の始業を延期。オンライン教育を奨励しつつ各企業にも協力を求めているが、センスタイムがこれに応じた形だ。

センスタイムが無料で提供するAI教育プログラムは、AI分野の公開講義以外にも、コーディングを通じた実験、また教師のための講義など多様な内容を含む。その基本カリキュラムはすでに中国主要都市の250の小中学校に採択されるほど人気が高い。今回はそれを全国単位での無料で提供することになる。

新型コロナウイルスの問題が浮上した後、中国では無人店舗、テレワーク技術、オンラインコミュニケーションツールなど、「人と接触しなくて済むテクノロジー」が大きな注目を集めているという。今後、オンライン教育ツールもそのひとつとなりそうだ。

日本では東日本大震災の際、非常時の連絡を比較的担保することに成功したコミュニケーションツールであるLINEが世間一般に浸透した。新型コロナウイルス問題の収束まで長い時間を要することがほぼ確実となった現在、中国では生活をサポートしてくれる遠隔・自動化技術がより生活に根付いていくかもしれない。

一方、物流&EC大手のJD(京東)は、陕西省榆林市と共同で「感染病相談ロボット」というアプリを開発・公開した。こちらは、JDの人工知能技術がベースとして使われており、スマートフォンを通じて、新型コロナウイルスの症状、予防措置、病院案内ガイド、リアルタイムデータなど、自然言語を理解してユーザーの質問に答えてくれる。

日本では政府や自治体が情報を公開しているが、そのスピードは決して迅速とは言い難い。相談窓口も急ピッチで開設されているが、予想するに問い合わせが多く対応に追われていることだろう。

中国はそもそも企業と政府、また自治体の結びつきが強いという前提はあろうが、感染病相談ロボットのような問合せに自動で応答してくれるプラットフォームが早急に用意できるという点には非常に意思決定のスピード感を感じる。

日本においても感染が拡大している現在、長期戦も視野に入れて、遠隔・自動化技術の社会実装を急ぐべきではないだろうか。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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