「ハイジュエリーは一部の人に限られた世界。カルティエはそれを世の中に開こうと展覧会をした最初のメゾンです。カルティエにとって共有する想いは重要な価値観のひとつ。最高の技術を持つ職人達とともに創造してきたものを、世界に共有したいのです」
こうした開かれた姿勢は、森羅万象からインスピレーションを得ていたルイ・カルティエの好奇心にも繋がるところだ。メゾンを国際的に飛躍させた創業者の孫、ルイ・カルティエは、浮世絵や動物写真、カワセミの羽から印籠まで、ユニヴァーサルな好奇心を想像力の源としていた。時代と共鳴しながら、新しいものを生み出していく姿勢が、今日まで続くカルティエの魅力を作り出している。
時代を超え、愛されるものをいかに残せるか。答えはカルティエのスタイルの中に見つかりそうだ。
会場は3つのチャプターを回遊できる構成。ミステリークロックが展示された序章「時の間」を抜けると、精巧な金工技術や石の加工技術、宝石のカラーパレットによる「色と素材のトランスフォーメーション」、造形的な機能美、さまざまなモチーフを基に作り出された形とデザインを探る「フォルムとデザイン」、西洋だけでなく世界の文明文化から影響を受けたカルティエの作品に焦点を絞る「ユニヴァーサルな好奇心」の空間が展開された。ルイ・カルティエの好奇心として、インスピレーションの基になった文献や収集物が収められたアーカイヴの展示も実施された。