文房具情報サイト「文具のとびら」編集長、高畑正幸氏。テレビ東京『TVチャンピオン』「文房具通選手権」で1999年、2001年、2005年と3連続優勝を果たした「文具王」でもある。
ホワイトデーも近いので、プレゼントにちょうど良いアイテムを提案したい。
プレゼントとしては、気を遣わせない程度の適度な価格帯で、もらって困らないもので、多少の驚きがあるものがいい。消費されるか実際に使用されるのがベストだ(この「実際に使用」というのは重要で、例えばマグカップは実用的な製品だが、ほぼ間違いなくすでに持っているので、プレゼントが使われる確率はそう高くない。しかし心理的に捨てにくいので、もらった方はスッキリしない)。
ホワイトデーには「チョコ」のような決定的切り札がない
そう考えると、バレンタインデーにチョコレートというのは、その条件を満たしやすい絶妙の設定だったのだと分かる。1000円以下の価格帯でも十分に選択肢があり、嫌いな人がかなり少ない。基本的には消費されるので、邪魔になることもなく、賞味期限も比較的長い。ケーキやクッキーなどにも利用でき、アレンジの幅が極端に広い(型に流せばどんなカタチでも作れる造形素材でもある)など、愛の告白でなくとも、親愛の印や日ごろのお礼などにも十分対応できるちょうど良い設定なのだ。
だからこそ、これほどまでにバレンタインデーという行事が普及したのだと思う。これが「プラチナを贈る日」だったり、「桃」を贈る日だったりしたら、きっと盛り上がらなかっただろう。
しかし、ホワイトデーは微妙だ。これはもう、「バレンタインデーでチョコもらったんたんだから、当然お礼しなきゃね」という義務的状況からスタートしているのからして良くない。
しかもアメだったりマシュマロだったり、ホワイトチョコだったり、クッキーだったり、いまひとつレギュレーションがハッキリしないし(みんなが遊ぶには絶妙のルールが必要なのだ)、どれもチョコレートほどの支持率や懐の深さがない。マシュマロなんて、もらってほんとに嬉しいのか? と疑問に思ってしまう。そもそもチョコレートに勝るプレゼント食材というのがすでに難しいのだ。その上で個性やセンスを発揮するなんて筆者には絶望的に思える。
ということで、筆者の場合は食品はとっとと諦めて、やはり得意な文具雑貨系にするのである。そんな本命ってわけでもないけど箱入りのチョコもらっちゃったし、という場合のお返しプレゼントとして絶妙な製品の1つが今回の「プチネーム」である。
これがプレゼントのお返しに絶妙な理由
プチネームは簡単に言うと、「シヤチハタ印」と呼ばれることも多い最普及型の浸透印「Xスタンパー ネーム9」をそのまま半分の長さに縮めてストラップを付けたものだ。プチとはいえ、本体の直径はネーム9とほぼ同じ。長さを約半分に切り詰めたデザインは、小さいながらも一目見て明らかにあの「シヤチハタ」の系譜だと誰にでも分かる。
小さいながらもネーム9と同じくスタンプ台不要の浸透印(本体が短いため、インクは後ろから補充するタイプではなく、印面に直接インクを垂らして染み込ませる方式)で、スタンプされる印章のサイズもほぼ同じ。キャップは勝手に抜けないよう、ひねってロックする方式だ。捺印の際に使用しやすいように、ストラップはキャップ側についている。細かい使い勝手を言えば当然ネーム9の方が良くできているが、充分実用品と言えるだろう。