アルファベットが風力発電プロジェクト「Makani」の運営終了

開発が進められていた「エナジーカイト」(Makani)

グーグルの親会社アルファベットは、風力発電プロジェクトを行う傘下の企業「Makani」のプロジェクトを停止する。アルファベットは、直近で収益化を果たせていない部門の見直しを進めている。

「当社はテクノロジー面で多大な進歩を遂げてきたが、商業化へ向けた道のりは当初の予想よりも長く、リスクも大きすぎた。当社はアルファベットでの事業を停止する」とMakaniのCEOのFort Felkerは2月18日、ブログで宣言した。

2006年創業のMakaniはシェルからも出資を受けており、2013年にグーグルXに吸収された後、昨年2月からアルファベットのOther Bets部門で独立企業として運営していた。同社は凧のように空中に浮かぶタービンを浮遊させ、風力で発電を行うシステムを開発している。

Makaniの閉鎖は、アルファベットのOther Bets部門の赤字の拡大を受けてのものだ。Other Betsの損失は2019年に48億ドル(約5300億円)に達し、前年の34億ドルから増えていた。

Other Bets部門には、自動運転のウェイモやヘルスケア企業のVerilyなどがある。昨年12月にアルファベットのCEOに就任したサンダー・ピチャイは、この部門の長期的な収益性の見直しを進めると述べていた。

Other Betsからは他にもエネルギー関連の企業がいくつか独立した。地熱を利用した冷暖房システムのDandelionや、塩でエネルギーを貯蔵するMaltaなどだ。また、現在もOther Bets傘下で運営中の企業としては、ドローンによる商用配達サービスを手掛けるWingがあげられる。

Makaniは7年間をグーグルのXラボで過ごし、ノルウェー沖でテストを重ねていた。アルファベットの広報担当によると、同社の数十人の社員は今後、社内で別のプロジェクトを担当するという。

アルファベット傘下でのMakaniのプロジェクトは中止になるが、出資元のシェルは今後も同社に対する支援を継続するという。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事