米マクドナルドは全米の9万人の従業員に対し、賃金アップを行うことを発表した。アメリカ全土の直営店において、最低時給が1ドル賃上げされる。この動きは2月にウォルマートが実施した賃上げに続くものと見られる。
「働くみなさんの声に耳を傾け、今回の決定を下しました。賃金アップに加え、有給休暇制度の充実や、学費の支援制度を行うことで、みなさんの生活向上に役立てるかもしれない」と、CEOのスティーブ・イースターブルックは声明の中で述べた。
今回の賃上げで、マクドナルドの従業員の最低賃金は時給8.25ドルに上昇する(連邦政府が定める最低賃金を1ドル上回る)。同社の試算によると、今回の改定により全米の直営店の平均賃金は時給10ドルを超えることになるという。賃上げは7月1日から実施される。
しかしながら、今回の賃上げの対象となるのは、全マクドナルド従業員の中で比較的少数だ。同社は全米に1万4000ヶ所の店舗を持つが、その中で直営店の割合は約10%。残りの店舗はフランチャイズで運営されており、独自の給与体系をとっている。
労働者団体はつい先日、「最低賃金15ドル」を求める抗議活動を行ったが、その額にははるかに及ばない数字だ。
マクドナルドはその適正賃金をめぐり、長く見苦しい論争を重ねてきた。同社にとって最も恥ずべき実態が公開されたのは2013年の7月のこと。フォーブスの記者は下記のようにリポートしていた。
「時給7.25ドルの最低賃金で、果たして普通の生活が成り立つものでしょうか。同社の試算では月収1105ドルの従業員が副業で955ドルを稼ぐことを前提に、家計をやりくりすることになっています。その結果、毎月100ドルも貯金ができるようなモデルケースを発表していますが、非常にバカげた話です」
今回の発表を受けて同社の株価は、ほぼ全く動かなかった。ニュースが報じられたタイミングの株価は約96ドル。当日の終値は96.29ドルだったが、それは前日終値から1.2%の下落という結果に終わった。